9年…あれから9年がたった
今の私は17歳、買い取られたお店の次の花魁として期待をされている
「あなたちゃん今日もよろしく頼むよ」
『はい、今日も頑張りますね!』
「可愛いねえ」
『えへへ』
私は9年間、笑顔を絶やさない可愛い華奢な女の子を演じてきた。
それも今日で終わりだ
『今日はいつも以上に頑張りますね』
私は逃げる、ここから
⤵︎
夜になればなるほど明るくなっていく吉原
夜になればなるほどお客さんが増える
私は逃げる方法を考えてきた9年間も
門には見張りがいるからそこからは出られない。
毎日夜に抜け出してはたくさん逃げられる場所を探した。
そしてようやく見つけたのだ。
『…ここだ!』
とにかく逃げよう
今夜の接待は出来ないと行ったら、昼間頑張ってくれたからね、ゆっくり休んでと言われた
女将さんはいい人だった。本当にお世話になった
だから私はせめて無事に逃げ切ろうと思った。
『…外に出れた』
『案外バレないもんなんだな』
『とにかく逃げよう、どこでもいい、』
⤵︎
ここは、森?少し走ってその後1時間くらい歩いたところに森なんて…
「ガサゴソ…」
『…ッ』
「…っあ''〜」
なにこの姿格好…鬼のよう…
「あ、なんだまた飯が迷い込んできたのか」
『…?』
「それにしても上玉だなぁ…今日はいい日だ」
『…』
怖くて声が出ない
誰なのこの人、飯?上玉?
「それじゃあいただくとするか、」
『…』
結局のところ逃げても、待つのは災難だったなあ
今更帰ってもきっときつい罰が下される
もうどうでもいいや
『…』
私は目を瞑り鬼を求めるように手を広げた
「随分と物分りがいい嬢ちゃんだ、痛くしないでやるよッ!」
??「霞の呼吸 壱の型 垂天遠霞」
ボトッ
なんの音…?
恐る恐る目を開けるとそこには刀を持った髪の長い少年がいた
『…』
まだ怖くて喋れない…
『あ、なたはだれ?』
喋れた
「…こんな夜遅くに女の子一人で何をしているの」
『えっと…逃げてきた』
「なんで鬼に全てを捧げようとしたの」
『もう助からないと思った…から。どうでもいいかなって思って』
『あの人は鬼?なの?鬼って本当にいるの?』
「…」
「もう行くから」
「早く家に帰って」
『家ない、逃げてきたの、だから死のうと思ったのに』
『あなたが邪魔をするから』
「…は?」
『責任取って』
『私を連れて行って』
「な…にいってんの?嫌だ僕はそんな面倒くさいことしない」
『…勝手に助けて、勝手に消えるなんて無責任なことしないよね?』
時「…俺は時透無一郎、着いてくるなら着いてくれば、」
『私は、冬樹あなた、』
ずっと止まっていた時計の針が動き出した気がした












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。