【 hsrb side 】
失敗した。
死にたくて死にたくて、
リストカットをした
首を吊った
睡眠薬を飲んだ
何度も何度も何度も何度も何度も何度も。
こんな俺を生かす理由が
この世のどこにあるのか。
俺みたいな人間は、
さっさといなくなって
生まれ変わるのが
筋ってもんじゃないのか。
なんで俺は生きているんだろう。
なんで神様は俺を連れて行かないのだろう。
昔から俺は
いじめられやすかった。
俺の父親はとにかくクソで
子供がいても構わずに
女を取っ替え引っ替えしている。
あのクソが不倫相手を孕ませた。
当時俺は小学生だった。
ママ友ネットワークで全部が流れて、
俺がアイツの子供だったせいで、
理不尽ないじめを受けた。
父譲りのこの綺麗な顔が大嫌いだった。
………彼女が来るまでは。
最初は変なやつだな、
なんて思って
馬鹿にしていたはずなのに。
俺みたいな陰キャに向かって
一方的に喋るあの行為も、
どうせすぐに飽きて
俺のところには来なくなると思っていた。
……なのに、なのに。
友達みたいなテンションで
俺に話しかけ続けてくれた。
なんで俺みたいな人間にも、
優しくしてくれるのだろうか。
なんで俺を煙たがらないのだろうか。
なんで…なんでなんで。
いつしか彼女が来る
あの時間が楽しみになっていた。
無駄な自殺行為もしなくなった。
いつかあの子と直接話して
感謝を伝えるまで、
死んじゃいけないような気がした。
だから俺は今日も狂った愛情を
隠しながら彼女の姿を
撮って、録音して、眺めて。
この気持ちがバラすのは、
あの子を手に入れてからにしよう。
【 inm side 】
完璧主義。
それはとても厄介なもので、
自分が完璧じゃないと
いてもたってもいられなくなる。
俺は完璧主義のくせに、
実力が全く追いつかなかった。
勉強も運動も歌も…
全部全部、頑張ったのに。
才能というものは残酷で、
どうやら人間には生まれた時から
すでに格差がついているらしい。
完璧じゃなきゃ意味がない。
それを果たせない自分が
どんどん嫌いになっていって、
クラス中が俺を煙たがっている気がして。
大人は
「考えすぎだ」と笑った。
クラスメイトは
「被害妄想きっつ」と罵った。
俺を見るみんなの目が怖くて
みんなに
指を指されている錯乱に陥って。
挙げ句の果てに不登校になってしまった。
堕落していく自分を見て、
さらに自己嫌悪に襲われる。
最悪なループ状態だということは
自分でもわかっていた。
でも今更したいと思うこともないし、
何かできる状態でもない。
きっとこのまま廃れて、
鬱にでもなって動けなくなって
孤独死するんじゃないか。
でも怖くないし、不思議と安心した。
そんなある日。
制服を纏って
家に訪ねて来た女の子は、
言い表しようのない魅力があった。
磁石みたいに目が惹きつけられて、
気がついたら
心臓がバクバクうるさかった。
俺のものにしたい。
絶対に他の奴らに取られたくない。
この子を幸せにするのは、絶対に俺だ。
完璧主義、とかいう呪縛から
この子ならきっと救い出してくれるはず。
だから俺は、あの子の住所やらなんやらを
全て洗い出して紙に書き出して
俺の恋人にさせる計画を立てた。
実行できるかどうかなんて
定かじゃないが、
しばらく俺は暇をしないで生きられそうだ。
ハァ…ハァ………
過去編しぬ…













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!