投票数が多かった社会人設定で行きます
朝のオフィスは、まだ人がまだらだった。
リウはデスクに座って、パソコンの画面を見つめたまま固まっていた。
入社してまだ3ヶ月。仕事にも少しずつ慣れてきたとはいえ、昨日任された資料は明らかにレベルが違った。
小さくつぶやいたそのとき。
背後から落ち着いた声がして、肩がビクッと跳ねる。
振り返ると、コーヒーを片手に持っていたのはソンホだった。
同じ部署の先輩。仕事ができて、面倒見もよくて、でも少しだけ距離がある人。
リウにとっては、尊敬と緊張が混ざった先輩だった。
軽く笑いながら、ソンホはリウの隣のデスクに腰を下ろす。
その仕草が自然すぎて、余計にドキッとする。
図星すぎて言葉が詰まる。
ソンホは画面を覗き込むと、少しだけ眉を寄せた。
そう言ってマウスに手を伸ばす。
指先が触れそうな距離に来て、リウは思わず息を止めた。
ソンホがさっと修正を入れていく。
迷いのない動きに惚れていると、不意に目線が合った。
慌てて返事すると、ソンホがクスッと笑う。
即答したけど、絶対バレてる。
そのまま2人で作業を続けて、気づけば資料はほぼ完成していた。
思わず本音が漏れる。
そういうと、ソンホは少しだけ驚いた顔をした。
言いかけて、ふと気づく。
距離が近い。
いつの間にか、方が触れそなくらい近づいていて。
ソンホの香りが、ほんのりと漂っている。
低くて優しい声。
思わず顔をあげると、すぐ目の前にソンホの瞳があった。
その一言が、やけに心に残る。
気づけば、そんな言葉が口から出ていた。
ソンホは少しだけ目を細めて、ゆっくり頷く。
その返事が、思った以上に優しくて
胸の奥がじんわり熱くなる。
━━その日の夜。
残業でオフィスに残っていたのは、2人だけだった。
ソンホが椅子を回しながら聞いてくる。
そう言いながら、自然にリウの隣の机に来る。
昼よりも距離が近い気がして、妙に意識してしまう。
名前を呼ばれて、顔を上げる。
その一言で、胸がぎゅっとなる。
正直な気持ちを言うと、ソンホは少しだけ困ったように笑った。
意味がわからなくて首を傾げると、ふと距離が縮まる。
低く落ちた声。
気づいた時には、もう逃げ場はなかった。
目線が絡んで、動けない。
呼ぶと、ソンホの手がそっと頬に触れた。
優しくて、でも少しだけ強引な触れ方。
名前を呼ばれるだけで、心臓が跳ねる。
小さく頷いた瞬間。
そっと、額が触れる。
キスじゃないのに、それ以上に近くて。
ソンホが囁く。
その距離のまま、じっと見つめられる。
静かなオフィスに、2人の呼吸だけが響く。
リウは何も言えずに、ただ頷くことしか出来なかった。
すると、ソンホは少し笑って、
今度は、ほんの一瞬だけ軽く唇が触れた。
その言葉を理解するまで、時間はかからなかった。
ソンホは嬉しさのあまり抱き合い、また額が触れるようにする。
次は付き合ったあとの2人です!














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。