街の空気は、少しだけ甘かった。
BOYNEXTDOORのスケジュール終わり。
久しぶりの短いオフで、テサンとジェヒョンは並んで歩いていた。
ジェヒョンがいいながら、コンビニの袋を揺らす。
そう言って取り出したアイス。
袋を開けて1口。
ちょっと嬉しそうに笑うその顔に、テサンは一瞬だけ目を逸らした。
ジェヒョンはアイスを持ったまま、じっとテサンを見つめる。
その距離が、妙に近い。
1歩、近づく。
通りから少し外れた、人気の少ない細い通路。
ふたりの足音だけが響く。
テサンは小さく息を吐いた。
ジェヒョンは一瞬キョトンとして━━
すぐに笑った。
でも次の瞬間。
手首を軽く引かれて、壁際による形になる。
言いかけた言葉が止まる。
近い。
さっきよりも近い。
テサンの視線は、ジェヒョンの顔から逸れない。
低く、少しだけ真剣な声。
ジェヒョンは少しだけ息を飲む。
でも、離れようとはしない。
一瞬の静けさ。
外の音が小さくなる。
アイスが少し、溶けて垂れそうになる。
テサンが指で示す。
慌ててアイスに意識を戻すジェヒョン。
その隙に、少しだけ距離が近づく。
触れそうで、触れない距離。
呼吸がわかる近さ。
テサンが先に言った。
でも、離れるまでに少し時間かかった。
歩き出してからも、距離は変わらないまま。
方が触れそうで触れない、ギリギリの距離。
ジェヒョンがぽつりと呟く。
テサンは前を向きながら言う。
少しだけ、口元を緩めて。
ジェヒョンは少しだけ黙って、
それから━━
小さく笑った。
アイスはもうほとんど溶けかけていた。
でもその甘さは、さっきより濃く感じた。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。