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第1話

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562
2024/08/15 13:34 更新
一体どうしてこうなったのだろう。
岩本
あなたの男装時の名前(あだ名でも可)、どうした?何かあった?
大好きなSnowManのみんなを前に、私は胸の高鳴りをできる限り抑えようとする。
あなた
だ、大丈夫!ごめん、
ちょっと考え事しちゃって……
苦笑する私の肩に細く白い腕が当たった。
目黒
ふーん。熱でもあるんじゃないの?
……なんて笑
そう言って目黒は私の額に手のひらを当てた。
私はにやける口元をなんとか抑えたけれど。

向井
ふははっ!めっちゃ赤くなってるで!
あなた
……‼︎
恥ずかしくて私はテーブルに突っ伏した。
私の顔を隠していたフードはもう、彼らの手によって脱がされてしまった。
あなた
や、やめて……
佐久間
笑やだ、やめない
佐久間の笑いながら楽しそうな声がなんだか私の胸の中をくすぐる様だった。
楽しい。いや、楽しかったけれど。
阿部
……ほんと、『可愛い』ねぇ……
場の空気が、まるで凍ったかの様に冷たくなった。阿部は小さく「あっ、やべっ……」と呟いていた。
そんな阿部に私は……。


──力強く、パンチした──。
あなた
……誰が『可愛い』、だって……?
バン……という痛そうな音と同時にみんなの顔はみるみると青ざめていく。
ラウール
阿部……大丈夫?
宮舘
いや、ノックアウト。一発KOだね笑
渡辺
そんなこと言ってる場合じゃないし笑
ちょっ、怖いから笑
あなたの男装時の名前(あだ名でも可)、一旦落ち着いて?
その言葉は私の耳にスッと入り、戦闘体制は解かれた。けれど……。
あなた
僕に『可愛い』とか、
冗談でも言わないでよね
深澤
そんなこと言ったって……ねぇ笑
そんな中、深澤がぼそっと呟いた。
すると、深澤を一人置いてみんなが一斉にさっと後ろに離れる。
あなた
今何て言った……?
深澤
あっ!ごめんなさい、その、
パンチはやめて下さい……
あなた
許さん(*^^*)
深澤
ああ……‼︎
私は本日二度目の、パンチをお見舞いした。
膝から崩れ落ちる深澤を見て、佐久間は思いっきり笑っていた。
あなた
まぁ、いいよ。二度と言わないでね。
今日の夕食、何がいい?
切り替わりの早い私に少し驚いたのか、みんな何も口を開かず……いや、開けずにいた。
すると、少し経ったのちに岩本が口を開いた。
岩本
チャーハン……とか?久しぶりにさ
向井
はっきりと食べたいって言えや、
それ単に照にぃの好きな食べ物やろ笑
二人は笑って話をしてくれたおかげで、凍った様な空気が少しずつ溶けていく様だった。
ありがとう。
あなた
岩本はチャーハンが好きなんだね笑
わかった、覚えとく。
みんなも、今日はチャーハンでいい?
SnowMan(みんな)
いいよ!
エプロンを着ている最中の私の肩をトントンと阿部が触れた。
阿部
あ、焦らないでいいからね?
今日はみんなここで寝るし
あなた
わかった笑。ありがとう
お腹を抱えながら気を遣ってくれる阿部に少し申し訳なさを感じた。けれど、やっぱりあんなこと言った阿部が悪いと私はそっぽを向いた。

みんなの話声を聞きながら、チャーハンを作る。
えっと、岩本はネギが嫌いだったよね……。
で、でも、ここでネギ入れなかったら私が隠れオタクだってバレちゃう……。
悩んでいると向井がこっちにやってきて耳元に小さく囁いた。
向井
あなたの男装時の名前(あだ名でも可)、あんな。
照にぃはチャーハンは好きだけど、
ネギは苦手で……。
ネギ入れんといて。ええ?
あなた
そうなの?わかった!
教えてくれて、ありがとう(*^^*)
心の中で、「ナイスマッサマン!」と思わず叫んだ。これで私が岩本の好き嫌いを知っていても辻褄が合う。
向井が「ありがとう!ほんならよろしくな」と笑顔で私に言ってみんなに混ざりに行ったものだから、また心臓が破裂しそうになった。
この生活は、あまりにも心臓に悪い……。
あなた
♪〜〜♪〜
私は思わず歌を歌いながら、10人分のチャーハンを作り続けていた。
料理をしていても、みんなのさっきの行動が私の脳内を駆け巡っていた。なんだか頭がぼーっと暖かくなる様で、咄嗟に私はフードを被り直した。
SnowMan(みんな)
(可愛い……)
その思いは9人全員が伝えられない、声に出しても届かない思いだ。
今日は阿部と深澤がパンチを喰らったけれど、少なくとも一人五回ずつ以上はパンチやキックを喰らっている。
深澤
いてててて……
渡辺
ふっか大丈夫?笑
この光景は俺たちにとっては日常茶飯事で、一番攻撃を喰らうのはラウールだ。
深澤はたまにしか喰らわないから、その分痛かったのだろう。
俺たちは毎日あなたの男装時の名前(あだ名でも可)に愛を囁いているけれど、今までたったの一度も真っ向にその感情に向き合ってもらえたことがなかった。
『彼女』には、何か事情があるのだとはわかるけれど……好きな気持ちは、抑えられない。
目黒
今日もだめだったかぁ……
ぼそっと、そう目黒が呟いた。
目黒の目の前には向井と宮舘とラウールと佐久間と……まぁ要するにいっぱいがマ◯オカートをしてはしゃいる。
そんな状態で、けれど佐久間が目黒の言った一言をしっかりと耳で聞き取った。
佐久間
でも、惜しかったんじゃないの?笑
赤かったじゃん、顔
目黒
聞こえてたの笑
佐久間
ばっちり。ってか
俺もそのことで頭いっぱいだからさ笑
恥ずかしさが込み上げながらも、本音を話せる貴重な空気を手放すことはできなくて、目黒は話を続けた。
目黒
今日のは本当に完璧だと思ったからさ。
カメラで撮られてもOK
もらえるくらいよかったのに……
佐久間
今回は阿部が禁句
言ったせいだとは思うけどね笑
その瞬間になんか、
空気が元に戻っちゃったんだもん
阿部
え? なんか言った?さっくん
佐久間
べっつにぃ?
頭を傾げる阿部に目黒と佐久間は目を合わせて苦笑した。目黒は少し悩んだ末に少し不安気にこっちを見つめる阿部に対して一言いった。
目黒
あいつも鈍感だけど、
お前も大概だと思うよ笑
佐久間
ははっ笑
阿部
……?
だめだこりゃ。
阿部もあなたの男装時の名前(あだ名でも可)のことが好きなのはとっくにわかりきったことなのに……。
「それでいいのか阿部」とツッコんでやりたいぐらいだ。
けれど。もしそのツッコミのせいで阿部が自分の思いを自覚して、彼女にアタックしてしまったらと思うと……下手に口は開けなかった。
彼女は、どこまでも純情で底が見えないほどに鈍感だった。騙されそうで心配になるけれど、そこが彼女のいいところだ。

──俺たちのことをまだ欺けていると思っているところも……心配だけれど、可愛くてしょうがない。
本当は男装している、ただの女の子だってことも、本当は俺たちの大ファンだってことも、俺たちは知っている。
でも、俺たちは『何も』知らない。
彼女の本当の名前も、なんで男装しているのかも、なんで『可愛い』と言われることを嫌うのかも。
目黒
(もし……俺が、誰よりも早く
彼女の秘密を知れたら……)
あなたの男装時の名前(あだ名でも可)のことをもっと知りたいし、もっと触れたい。もっと、この溢れる気持ちを真っ直ぐに伝えて、通じ合いたい。
あなたの男装時の名前(あだ名でも可)の、素直な笑顔がもっと見たい。
そしてそれは、あなたの男装時の名前(あだ名でも可)にとって誰よりも近い存在で、ありたい。
佐久間
……少なくとも、
俺とめめは同じこと考えてるよ笑
『少なくとも』……ね。
後ろをチラッとみると、向井があなたの男装時の名前(あだ名でも可)に話しかけている姿が見えた。
……あなたの男装時の名前(あだ名でも可)の耳元に囁いて、こんなこと思っちゃいけないけれど、なんだか少し不快だ。
そんなことを思っていると、向井は焦りながら頭を下げて宮舘の方に早足で歩いて行った。
その時にちらっと見えた向井の表情は、どうとも言い表せない表情だった。
けれど……きっと、俺と同じ感情で埋め尽くされているのだと思った。真っ赤な顔しちゃってさ……。
目黒
『可愛い』……
佐久間
その言葉さえ届かないんだから、
その先なんて、ねぇ?
誰が、彼女の心を掴めるのか。
……誰が、彼女の一番になるのか。
やっとスタートラインに立ったんだ。
フードを外させるのも大変だったから、この先もっと大変なことがいっぱいあるのだろう。
目黒
あなたの男装時の名前(あだ名でも可)!
キッチンに向かってそう言い放つと、彼女は「なに?」と首を傾げた。
目黒
フード、外してくれないの?
あなた
できれば。外したく、ない
目黒
そっか。残念。
でも、ちゃんと顔見せてね?
俺、あなたの男装時の名前(あだ名でも可)の笑顔大好きだから
あなた
……ありがと
彼女が俯いてしまった時、火照った顔が見られないのかと少し残念だった。
でも、わかりやすい彼女は声が小さくなって、いつもより早いってだけで意識してくれていることがよくわかる。
佐久間
……負けないよ?
目黒
こっちだって。
でも、流石に九人ってなると
多すぎるような気がするけどね笑
佐久間
自覚してない内だったら
ライバルじゃないってことで
いいんじゃない?
ま、今のうちってことだよ
みんなが、彼女のことを好き。
誰も譲れないし、譲る気なんてない。
早い者勝ちだ。
目黒
誰が……一番になるんだろう
淡い不安と緊張感が、目黒と佐久間の胸の中をずっと回り続けていた。
これから始まる物語は9人のあなたの本当の名前(あだ名でも可)との出会いと、恋の始まり。そして、恋心のゆく先──。
これは十人の思いが織りなすストーリー──……。

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