人間。人を裏切り、己が間違えていると気付けばすぐに掌を返したように謝り、もう二度と裏切らないと約束してもなお、人を裏切る生き物。
鬼。裏切れば鬼舞辻さんに殺される、戦っても致命傷を与えることはできない鬼同士では裏切りも、戦いもない。ある意味、人間よりも綺麗な生き物。
なら、私は?
鬼殺隊でもあり、鬼でもある、私は?
月が綺麗。
今日も鬼は自らの成長のため人を喰らい、人を守るため鬼殺隊は鬼と戦う。
十二鬼月とは下弦の陸から上弦の壱を指す言葉。
まあ、下弦が解体され、上弦もかけている今、"十二"鬼月ではありませんけれど。
私は人を殺したいわけではありませんし、人を食べずとも生きていけます
故に人間と、鬼殺隊士と、出会っても殺すようなことはしません
ただ、殺されたくもないので私に襲いかかってくる者に限り、血鬼術で凍らせ、動けないようにします
可哀想に。この人は見た感じ弱そうですし、あのまま夜明けに血鬼術が解けるのを待つか、猗窩座さんに殺られて終わりでしょう
そろそろ…………
next ↺
_____________________
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!