二人は並んで歩き出した。
重い荷物を抱えた老人が坂道で立ち止まっている。
ゾムがひょいと荷物を肩へ担ぐ。
老人が慌てるとエーミールが穏やかに笑う。
老人も思わず笑う。少し空気が和らいだ。
その笑顔を見て、エーミールも思わず嬉しくなった。
橋を渡ろうとしていた子供の足元で、板がぎしりと鳴った。
ゾムが駆け出し、子供を抱き上げる。
エーミールはしゃがみ込み、橋を確かめる。
手帳へ書き込む。
『西橋 板二枚交換』
自然と役割が決まっていた。
市場では八百屋と魚屋が怒鳴り合っていた。
ゾムが間へ入る。
ゾムは肩を落とした。
思わずエーミールが吹き出した。
二人はエーミールの方を向いて、同時に言った。
エーミールは少し考えてから口を開く。
二人は顔を見合わせる。
ようやく険しい表情がほどけた。
市場を出たあと。
そう言って照れ隠しのように先を歩いていく。
エーミールは慌ててその背中を追いかける。
ゾムが悪戯っぽく笑う。
エーミールは腑に落ちないままその隣へ並んだ。
二人の影が、夕日に照らされた石畳の上でゆっくりと重なっていく。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。