第14話

二人なら
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2026/08/05 09:10 更新
エーミール
エーミール
そうと決まれば、もっと街を見てまわりましょう
二人は並んで歩き出した。
重い荷物を抱えた老人が坂道で立ち止まっている。
ゾム
ゾム
貸してみ
ゾムがひょいと荷物を肩へ担ぐ。
住民
りょ、領主様!そんなこと……
老人が慌てるとエーミールが穏やかに笑う。
エーミール
エーミール
昔からこういう人なんですよ
住民
……はは、変わった領主さんだ
老人も思わず笑う。少し空気が和らいだ。
その笑顔を見て、エーミールも思わず嬉しくなった。

橋を渡ろうとしていた子供の足元で、板がぎしりと鳴った。
ゾム
ゾム
危ない!
ゾムが駆け出し、子供を抱き上げる。
ゾム
ゾム
怪我ないか?
住民
うん!
エーミールはしゃがみ込み、橋を確かめる。
エーミール
エーミール
この板、かなり傷んでますね
手帳へ書き込む。
『西橋 板二枚交換』
ゾム
ゾム
帰ったら修理手配しよか
エーミール
エーミール
はい
自然と役割が決まっていた。
市場では八百屋と魚屋が怒鳴り合っていた。
店主
魚の匂いがこっちまで来る!
店主
そっちこそ荷物広げすぎや!
ゾムが間へ入る。
ゾム
ゾム
まぁまぁ二人とも
店主
領主様は黙っとってください!
ゾム
ゾム
なんでやねん!
店主
どうせ貴族には分からへんやろ!
ゾムは肩を落とした。
ゾム
ゾム
めっちゃ言われるやん俺……
思わずエーミールが吹き出した。
エーミール
エーミール
ふふっ
店主
笑うな!
二人はエーミールの方を向いて、同時に言った。
エーミールは少し考えてから口を開く。
エーミール
エーミール
……お二人とも、一番お客さんが多い時間は違いますよね?
店主
朝は魚やな
店主
昼前から野菜や
エーミール
エーミール
でしたら、午前は魚屋さんが広く使って、午後は八百屋さんが広く使うのはどうでしょう
二人は顔を見合わせる。
店主
……それなら
店主
悪くないな
ようやく険しい表情がほどけた。
市場を出たあと。
ゾム
ゾム
エミさん
エーミール
エーミール
はい?
ゾム
ゾム
俺が何言うても聞いてくれへんかったのに
エーミール
エーミール
聞く耳を持ってもらえるように話しただけです
ゾム
ゾム
やっぱ頭ええな
エーミール
エーミール
ゾムさんは人助けの方が向いてますね
ゾム
ゾム
エミさんは人の心動かすんが上手い
エーミール
エーミール
そうでしょうか
ゾム
ゾム
だから俺も動かされてもうた
エーミール
エーミール
……え?
ゾム
ゾム
いや、なんでもない
そう言って照れ隠しのように先を歩いていく。
エーミール
エーミール
待ってください
エーミールは慌ててその背中を追いかける。
エーミール
エーミール
さっきのどういう意味ですか
ゾム
ゾム
秘密
エーミール
エーミール
気になります
ゾム
ゾム
そのうちな
ゾムが悪戯っぽく笑う。
エーミールは腑に落ちないままその隣へ並んだ。
二人の影が、夕日に照らされた石畳の上でゆっくりと重なっていく。

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