目を覚ましたとき、僕は見知らぬ畳の上にいた。
薄暗い部屋、窓の外では風鈴が揺れている。
誰もいない。けれど、どこか懐かしさを感じた。
振り向けば、そこに朔夜がいた。
式神を肩に乗せ、壁にもたれながら僕を見下ろしている。
馴染んでいた?
それってつまり――
僕の中に走る、背筋の凍るような疑念。
じゃあ僕は、“まほろばに来る前から”影を引き寄せてたってこと?
遥真が隣の部屋から現れ、手に巻物のような記録を抱えていた。
遥真はそう言って、僕の肩にそっと手を置いた。
僕は、知らず涙を流していた。
あのとき祓われていった影に――“哀しみ”を感じたから。
その夜、ミオがぽつりと呟いた。
そして――
その“器”が、本当に必要になる瞬間が、次に訪れる。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。