キャラ︰御影玲王
関係︰友達
シチュ︰失恋
放課後の廊下。
人混みの向こうで笑ってる君を見つける。
御影玲王。
誰よりも自信があって、
誰よりもまっすぐで、
誰よりも遠い人。
女の子が駆け寄る。
玲王は自然に笑って、軽く頭をぽんってしてあげて。
その仕草が、胸に刺さる。
私はずっと、隣にいるつもりだった。
友達として。
一番近い存在として。
でも……
ある日の帰り道。
何気ない顔で、玲王はそう言った。
世界が、音を失った気がした。
聞かなきゃよかったのに。
その横顔は、私が知らない顔だった。
強くて、優しくて、まっすぐで。
その目に、私は映ってない。
分かってた。
ずっと分かってたのに。
ちゃんと笑えたと思う。
玲王は嬉しそうに笑って
その言葉が、いちばん残酷。
放課後の屋上。
冷たい風が吹いてるのに、手のひらは汗ばんでる。
目の前に立ってるのは
玲王。
いつもの余裕な笑顔。
それだけで泣きそうになる。
でも今日は、逃げないって決めた。
すぅ、と息を吸い込んで最後の覚悟を決める
言えた。
震えてたけど、ちゃんと。
沈黙が落ちる。
ほんの数秒なのに、永遠みたいに長い。
玲王は困ったように笑った。
優しい声。
優しいのに、もう分かる。
胸がぎゅっとなる。
はっきり、でも傷つけないように。
それが余計に痛い。
笑って誤魔化そうとしてるの、分かる。
こういう時だけ名前で呼んでくるの本当にずるい。
涙が、勝手に落ちた。
止めるつもりだったのに。
玲王が一歩近づく。
でも、触れない。
触れたらだめだって分かってる距離。
その一言で、終わった。
ちゃんと頷いた。
最後はしっかり笑顔でいたいから。
最後まで強がった。
屋上を出るとき、
後ろを振り返らなかった。
振り返ったら、
また好きになっちゃうから。
階段を降りながら、涙が止まらなくて。
でも、不思議と後悔はなかった。
振られた。
ちゃんと終わった。
それでも。
あなたを好きになった時間は、
全部本物だった。
笑った日も、
一緒に帰った日も、
「理解者」って言われて少しだけ嬉しかったあの日も。
全部、嘘じゃなかった。
だから私は、最後に小さく呟く。
たとえ届かなくても。
選ばれなくても。
好きになれたことだけは、
誇りだから。
遠くで風が吹く。
屋上にはきっと、
まだ彼が立っている。
でも私は、前を向いて歩き出す。
きっとこの想いは、
ずっと心の奥に残る。
消えないまま。
でもそれでも——
好きになれたことだけは、
間違いじゃなかった。
玲王side
さっきまで目の前にいたはずの背中は、
もう階段の向こう。
俺はしばらく動かなかった。
小さく息を吐く。
振ったのは自分だ。
だから、追いかける理由なんてない。
それなのに——
胸の奥に、妙な引っかかりが残っていた。
思い出すのは、
涙をこらえて笑った顔。
『振ってくれて、ありがとう』
あんなこと言わせるつもりじゃなかった。
もっと、軽く断るつもりだったのに。
誰に言ったのか分からない言葉が、風に消える。
屋上のフェンスに寄りかかりながら、俺は空を見上げた。
好きじゃない。
それは本当だ。
今はサッカーしか見てないのも、本当。
でも。
ぽつりとこぼれた言葉に、自分で少し驚く。
今までは、
当たり前みたいに隣にいた。
練習の後、
くだらない話して、
一緒に帰って。
それが、もうない。
階段の方を見る。
追いかければ、まだ間に合うかもしれない。
でも——
俺は動かなかった。いや、動けなかった。
そう呟いて、視線を落とす。
夕日が屋上を赤く染めていた。
そのとき、ふと耳に残っていた言葉を思い出す。
『それでも、貴方の事が好きでよかった』
胸が、少しだけ痛んだ。
玲王は小さく笑う。
でもその笑顔は、いつもの余裕なものじゃなかった。
たぶん。
この先、サッカーでどれだけ上に行っても。
ふとした瞬間に思い出す。
泣きながら、それでも笑っていたあの顔を。
そしてそのたびに思う。
もしかしたら——
俺は、
すごく大事なものを
当たり前みたいに手放したのかもしれない。
夕日が沈む。
――屋上にはもう、誰もいなかった。
こういう系統も好きですけど、、やっぱり最後は結ばれて欲しかったですね……
次回はリクエストを書かせてもらいます.ᐟ.ᐟ
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。