さっき会ったセラフさんと同じクラス
なのだ、と先程一気に話された話の内容を
四季凪さんと他愛のない話をしながら咀嚼する
ゆっくり咀嚼していくと、セラフさんって
優しい人、ということが改めて
わかった気がする
だって、知り合って1日も経ってないのに
もう2回も助けられちゃった
これはちゃんとお礼しないと
なんとなく、今まで置かれた環境を
思い出して指先が空中に留まる
……怖い、幾つもの私を嘲笑う顔が
私を纏ってくるような、縛ってくるようで
急に周りの酸素が薄くなったみたいに
呼吸に浅くなって、視界がぼやける
後ろにいたはずの四季凪さんの声が
横に聞こえてきて、空中に留まってあった
手が別の温度に包まれると、ハッと意識が戻る
急いでにこっ、と笑顔を絞り出して
教室をドアをガラガラと開けて
ザッ、と教室を見渡すと空いている席は
ぽつぽつあるもののほとんどの席が
埋まっていて、私遅かったんだな、と
罪悪感が生まれる
…と、同時にこっちを見つめてくれてる
らしかったセラフさんとパチッと目が合う
さっきの錯覚に抜け出さなくて
おどおどとした、かなり震えた声が出た
それを見たセラフさんは何が言いたそう
な顔をしたけど、遠慮したのかすぐに
四季凪さんに話を振った
もう私は違う所に来てるんだから、1歩
踏み出してきたんだから
爪がめり込みそうなくらい強く拳を握る
痛みで自分を無理やり落ち着かせつつ
楽しそうにお話してる2人の様子を横目で見た
……うわー、やはりお2人は顔がいい
喋る場面でさえ、1つの絵になるんだもんね
さっきの暗い顔を誤魔化すそうに
元気な声色でにこり、と口角を上げて
人差し指を口元の所に軽く置く
私の心の古い傷と手のひらに残っている
爪がめり込んだ跡も全部包んで隠した
ような優しい笑い声に気持ちが軽くなって
思わず何も包み隠せてないどストレートの
言葉を発してしまって、ほんのりとした熱
が頬に留まった
セラフさん気づいてないといいな…
そういえば、ココ教室じゃん…私なんかが
セラフさんと仲良くしてたら、釣り合わない
反射だった、その考えが出た瞬間
私はすぐにさっきの表情をしまって
セラフさんと四季凪さんに改めて
にこりと業務用の笑顔を取り出して
笑ってみせる、私なんかがセラフさんと
人前で喋るわけには行かない
これからは気にかけないと、四季凪さんとも
程よい距離感を保って接していこう
私がここに来たのは同じくこの学校に来た
"あの子"に相応しい親友でいる為だから
できるだけ、あの子には迷惑を掛けたくない
セラフさんのなんだか悲しそうな笑顔に
胸がぎゅ、となんだか苦しくなったけど
上手く微笑み返した
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その後は先生が来て、軽く自己紹介をして
明日の知らせも確認してから放課後を迎えた
そしてあの子と約束してた放課後で
待ち合わせていた場所に早めに着いた
私の懐の中にいるのは"あの子"こと柳 明希
私がナンパされている明希を助けたのが
キッカケで、この学校に来たのも明希の提案だ
肩を並べて、他愛もない話をしながら帰路
についていると、明希から話題にかぶりつく
予想より斜め上の話題に私は戸惑いながらも
話題を聞き返すと「 一旦聞いて 」と
困りながらも恋する乙女みたいで黙った
まさかの恋する対象はセラフさんで
セラフさん確かにかっこいいもんね…と
納得しつつも、呟く声が不覚にも届いて
しまったみたいで、すぐにきらきらした目
で聞き返された
それに対して「 知ってるというか… 」
「 私の席の後ろなんだよね 」と答えると
「 そうかな〜 」と言うとすぐに
「 羨ましいよ 」と返されてゆっくり頭に
溶かしていると「 そうだ! 」の声
私が狼狽を声にすると、明希は言い訳を
するように捲し立てて喋り出した
その様子は私にとってきらきらと星が
また出ていない時間なのに眩しいって感じて
顔が赤い明希を見て、恋ってこんな風に
女の子を可愛くするんだ、って同時に思った
断る理由も見当たらなかったから、私は
明希といたら恋が出来るかもという下心を
抱きながら
と、頷いた











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。