イデアside__
そもそも、彼は入学時からちょっとした話題だったんすわ。彼は今、2年生だから1年前のこと。拙者はその時寮長じゃないから、聞いた話なんだけど⋯
新入生達が、次々と闇の鏡の前で名前を言い、所属寮を言い渡されていく。厳かに、粛々と進められて行くこの学園の伝統行事。
誰も何も言わず、闇の鏡の声のみが部屋中に響く。
────この生徒が名乗るまでは。
式典服のフードを下ろし、闇の鏡の前に出た青年。
まるで宝石のような、澄んでいる青い瞳を持った青年は力強く言った。 己の名前を。
寮長達が一斉に彼に目をやる。新入生は特に意に介していないが、魔法薬学のディヴィス・クルーウェルと同じ姓の生徒なのだ。クルーウェルなんて名字はそうそういない。
そこでパッと考えられるパターンは、
①たまたま同じ名字の人
②地域で意外と固まってる
③ディヴィス・クルーウェルの親戚
だが、誰もそんなこと聞ける状況でもないので、そのまま式は続行される。
────んで、式から寮に戻った時に一番に、当時の寮長は彼に聞いたんですよ。
『君さ、親戚にディヴィス・クルーウェルって人とかいる?実はこの学園に君と同じ名字の人がいてさ』
ってね。そしたら、彼は。
────って言って、しばらく有名人だったね。
まぁでも。皆1ヶ月もすれば慣れるし、何よりその後のリドル氏とかアズール氏とかが色々成し遂げたのもあって、まぁまぁ知られてる生徒って感じまで落ち着いた。
王族とか、世界的スーパーモデルいるんですもん。
教師の親戚とか、そんな驚きませんわな。
って、あー。監督生氏どっか行っちゃった。
監督生氏には隠してしまったが、これは言わない方がいいと思ったんすよねー…。
ふっ、とタブレット越しにあなた氏を見る。
ほんとーにキレーな肌にがっしりした体。明るいキラキラした表情。サラサラの髪に、清潔感のある制服。
イグニハイド寮では見かけないタイプの生徒。たまに同じゲームとかで話したことはあるけれど、友達って程でもない知り合いだ。
そんな彼は…。
こちらに気づいてダダダッ!と駆け寄るあなた氏。
タブレットの液晶とキスしそう距離で顔を詰めて、カメラの奥にいる僕を見つめる。
そう。彼が気になる理由は、顔を合わせる度に乙女ゲームの正統派王子並みに僕にアタックして付き合おうとしてくるからだ。
一体なぜ???まさか男子校のNRCでこんなイベント待ってるなんて思いも寄らなさすぎなんですが…。
今日こそ、無理です、付き合えませんと断ろう!
頑張るでござる!拙者、参る!!!!!
うーん、どう断れば「陰キャの癖に!」とか言われないかな…。ギャルゲーの知識を堀出せぇ、拙者…。
その時、画面越しに手で口元を隠すあなた氏が見える。耳まで真っ赤になって、じーっと画面の奥の拙者を見つめる。
画面の向こうで、ブーブー言ってるあなた氏が見える。
断れない理由は、これだ
僕もベタ惚れしてしまったということ。
……To be continued
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!