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【スノークリスタル】
聞いたことがあるだろうか?
通称「すのくり」としてファンに愛され続け、「新世代中学生6人組アイドルユニット」ともニュースなどで記載されている。
現在は2027年、4月7日。かつて入学したての中学一年生は、三年生になる頃だろう。
早朝5:30。まだみんなが寝ている時間に、静かにヴー、ヴー、ヴー…とスマートフォンが鳴る。
朝のアラームだ。
そう背伸びをしながらスマートフォンを手に取り、アラームを止める彼女は、すのくりの絶対的エースとして圧倒的な人気を誇る【エレミア】。
彼女はYouTubeチャンネルを管理する係。当然動画のコメントにも対応しなければならない。
早速彼女はパソコンの電源を立ち上げ、すのくりメインチャンネルの最新動画の視聴率・コメントの量・反省点や良い点をルーズリーフに書き出した。
まだメンバーは寝ているので、静かに彼女は動画の視聴率が高いことやコメントの量などに喜びを爆発させた。
逆に、反省点や良い点を書き出しているときには、彼女は真剣な顔になる。
彼女のルーズリーフには大量に、ぎっしりと文字が刻まれていた。その為、彼女の卓上にはルーズリーフが高く積まれている。
そして、彼女にはもう一つ、絶対にやらなくてはならない事がある。
そう、スケジュールの確認だ。
彼女は時間に敏感ので、見ておかないと気がすまないのだ。メンバーが3分でも遅刻するとキレるので、メンバーには「タイム・イズ・マネーを覚えて」とよく言っている。タイム・イズ・マネーとは、「時はお金のように大切なものだぞ!」という意味。メンバーに多分…ぴったりの言葉だ。
ちなみにすのくりメンバーは全員、時間に疎い…。
仕事をこなしたのか立ち上がり、彼女は嬉しそうにリビングに走った。
実はすのくりメンバーはシェアハウスをしている。お互いに協力し、謙虚な気持ちを持ってシェアハウスをしようと決めた上で、生活している。
しーん…と静まり返るリビングに、エレミアの元気な声が響き渡る。
すのくりメンバーに加入したきっかけは、とある募集広告だった。当時の彼女には夢があった。アイドルになって、東京ドームでの公演がしたいという…誰もが憧れた、そんな夢。ずっとずっと、アイドルに憧れ続けた。
実質、彼女はいつかアイドルになれば良いではないか、と両親も言っていた。歌声も、ダンスも上手い最強の体を持つ彼女は、学校でも人気だった。彼女は幸せだった。
…10年前のあの時までは。
父「ーーー、行くぞ~」
母「ーーー!行くわよ~!」
「はーい!」
パァンッ!!
銃の発砲音が聞こえた。
両親は、ーーーの目の前で倒れた。
…真っ赤で、ドロドロとした液体を流しながら。
「お母さ…ん?お父…さん?」
「きゃぁぁぁあぁあっ!」
「ひ、人が撃たれたぞ!誰か救急車っ!!」
「…え?」
頭をぶんぶんと横に振り、キッチンの隣にある冷蔵庫を開き、大好きなサイダーを出した。
両親がよく買ってくれたサイダー…幸せだったあの時を振り返ると、自然と涙がポロポロと出てきて、しゃがみこんでしまった。
この事は、メンバーには言っていない。心配をかけたくないという彼女なりの思いだった。
そう叫んだのは、すのくり水色担当の【るめ】だった。
るめが叫んだと同時に、メンバーがあわただしくバタバタと出てきた。
全員が揃って心配の言葉をかける。
心配をかけたくないエレミアは涙を拭き取り、「えへへ」と笑い誤魔化そうとした。
黄色担当の【レオ】とオレンジ担当の【ハイロ】はエレミアの背中をぽんぽんしながらそう言った。
すのくりリーダーでピンク担当の【ベリー】は、元気な声でそう言った。
紫担当の【りいな。】もうんうんと首を縦に振った。
全員が揃って頷き、エレミアの手を握りながらそう言った。対してエレミアも、「ストレスが溜まっていたのかな」と思い始め、メンバーの手を握り返して言った。
次回 Ep.2「ライブに向けて」












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。