起きるとベットにいた。
体中が痛くてびっくりするとともに
目が乾いていてしぱしぱさせていると
起きていた彼はやっと起きた俺に微笑んで
さっさと片付けを始めた。
⋯でも、手の、光が、視界の邪魔をする。
「ねぇ、それ、」
とまで声が出るけど、だめ。と言うように、
思うように声が出せない。
彼は聞こえていないのか、シャワーを浴びに
行ってしまった。
⋯あれって、あの、指輪?
そんな、彼に限って、あるわけ、ない、?
あの人と同じみたいに、無視、されるの、?
また、離れちゃうの?
嫌、絶対嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、
嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、
嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、⋯
ねぇ嫌だよ、どうしてそんな酷いことするの?
みんな、みんな、なんで俺を見てくれないの?
朝まで寝れなかった。
今日も、朝から収録があるのに。
彼は俺がシャワーを浴びている間に
帰ってしまったみたいで、虚無感だけが
俺を支配した。
漠然と死にたくなってきて、自傷するための
カッターを探したけれど、無くて、
自分で首を締めようとした。
でも、体は死にたくないようで何をしても
死ねなかった。
⋯だんだん明るくなっていく部屋が
憎らしかった。
──ピーンポーン
とチャイムが鳴って、
ふらつきながら誰かも確認せずに
乱れたバスローブのままドアを開けた。
「おはよ、京本」
深刻そうな顔をした北斗が立っていた。
びっくりしてしまって、
思わずドアを閉めようとすると北斗の長い足が
邪魔をする。
「⋯入ってもいい?」
笑を貼り付けたような笑顔で聞かれて、
何も考えずに首を縦に振っていた。
「で、急に訪れてしまって申し訳ないけど、
なんで貴方はここにいるの?
家があるのにホテルに来たのは何故?」
早口で話す北斗に答えるために口を開いても
はくはくと口を動かすだけで、
怪訝そうな顔をされてしまった。
「はぁ、じゃあ俺から話すね、ここに来た理由」
ベットに腰掛けていた北斗は
徐に立ち上がり、俺を抱き締める。
すると、首筋に唇が触れてベットに
押し倒される。
夢にまで見たこの光景は
現実のこととは思えなくて、
北斗に身を委ねることしか出来ない。
「昨日はお楽しみだったんでしょう?
⋯なのに俺に触れられてもなにもしないのね」
え、?今、なんて言ったの、
「聞こえてきたの、貴方の嬌声が。」
「バレてないとでも思った?
⋯あはは、その顔結構いいじゃない」
唖然とする俺と、北斗の余裕そうな顔が
明るくなった部屋に照らし出されていた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!