何度かわからないくらいイかされて、身体の奥がとろとろに溶けちゃって。呼吸の仕方すら忘れたみたいに、俺はベッドの上でぐったりしていた。
そんな俺を、Vさんがいつものように優しく抱きしめてくる。腕の中はあたたかくて、この状態になると、俺はいつも半分意識を飛ばすみたいに眠ってしまうんだけど、今夜はぼんやりしながらも起きてた。
むしろVさんのほうが眠そうに見えて、ほわん、とした空気を纏いながら、俺のふくらはぎに足裏をすりすりと寄せてきたりする。ちょっと子どもっぽいその仕草。
……なんか、かわいいな。
なんて思っていたら、Vさんは少しだけ迷うように息を吸った。
その声が妙に慎重で、うっすらと意識が冴えていく。
Vさんは少し腕を緩めて、俺の顔を見た。
心臓が、ほんの少し跳ねる。
たしかに立ち入った質問だ。でも不思議と嫌じゃなかったから、俺は正直に答えた。
その声は、どこか安心したみたいに柔らかい。
耳元で囁かれる声。
その言葉が落ちた瞬間、胸の奥が、ふ、と熱を持った気がした。
なんだろう、この感覚。
俺、今──
うれしい、のか?
Vさんは少しだけ姿勢を変え、俺の頬にかかる髪をそっと耳にかけた。
何を知りたいのか、よくわからない。
けど俺は、それも素直に答えた。
Vさんはそこで言葉を切って、黙り込んだ。
妙な沈黙。
俺は不安になって、思わず訊いてしまう。
Vさんは小さく笑うように息を吐いた。
耳障りのいい声が、少し言い淀む。
静かな夜に、Vさんの声が溶け込んでいく。
Vさんが、何かを確かめるみたいに俺の目を覗き込む。
少し間を置いて。
大きな手が、俺の背中をゆっくり撫でる。
透明──。
俺はずっと、透明になりたかった。
誰にも見つからないように、誰にも知られないように。
でもVさんが言う“透明”は、まるで壊れやすいものに向ける言葉みたいだった。
Vさんは少し迷いを見せながら、声を繋げた。
俺は小さく頷く。
Vさんの声が、ふっと低くなった。
抱きしめる腕に、ゆっくり力がこもる。
壊れものを扱うみたいに、やさしく。
その深い声は耳たぶを掠め、
静かな夜の底にほどけていった。



















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!