第35話

冬の到来と衝撃の襲来
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2026/06/13 13:33 更新


Vさんと連絡が取れなくなって、3週間が過ぎた。

あれから何度アプリを開いても、画面に映るのは冷淡な「サービス終了」の文字だけ。

運営の突発的な事故か、あるいは無法地帯すぎて摘発でもされたのか。真相は闇の中だ。

ただひとつ確かなのは、あまりにも一方的で、無慈悲な幕切れだったということ。

せめて事前に告知してくれていれば。
せめて一日でも猶予があれば。

そうしたら俺は──

ジョングク
ジョングク
連絡先、交換しとけばよかったな…


呟きは、冷たい空気に溶けて消えた。

いつもVさんと待ち合わせしてたコンビニの前で、人の流れに視線を這わす。

もしかしたら──

そんな淡い期待で何度か足を運んでみてるけど、Vさんの姿は見つからなくて。

出会える確証なんてどこにもないのに。

…ほんと、バカみたいだ。

ふとコンビニのガラス戸に目をやると、クリスマスケーキの広告が風に揺れていた。

もうそんな季節か。

ついこの間まで、秋だ紅葉だって思ってた気がするのに。季節は何もなかったみたいに進んでいく。

なんでこんなに季節の移ろいに無頓着だったんだろうって思って、そういえばあのひとのことばかり考えてたなと気づいて、自分で呆れる。

ジョングク
ジョングク
はぁ……

口から溢れた吐息はうっすらと白く濁り、冬の訪れを告げていた。






翌日。図書館の4階で、俺はいつも過ごす奥のスペースに向かっていた。

足元だけを見つめ、俯き加減に歩いていたら、

バタン、

静まり返った館内に響いた、乾いた音。

反射でわずかに顔を上げる。

少し先の椅子に座った人の足元、男物の革靴の横に、一冊の本が仰向けに落ちていた。

眠っているのか拾う気配はなく、片方の腕がだらりと垂れている。その床に触れそうな手に目がいった途端、


ジョングク
ジョングク
っ…、


心臓がどくん、と大きく跳ねた。

細くて、長くて。
骨ばった感じのない、きれいな指。

──似てる…

まさか、と思う。
そんなはずない。

でも勝手に視線が…
足元から上へ上へと引き上げられていく。

磨かれた革靴。
仕立てのいいスラックス。
シワのないシャツに、ベスト。
おしゃれな柄のネクタイ。

そして。

襟首から上へ視線を移した瞬間、思考は完全に停止した。

ほっそりした顎のライン。
程よい厚みのある唇。
高くてうつくしい鼻梁。
濃く長いまつげ。
彫刻みたいな整った顔立ち。
ふわりと落ちる黒い髪。

特徴的な目は閉じられてるけど、間違いない。


──Vさんだ……


まさか…嘘だろ…
え、待って、なんでここに?

混乱で頭が真っ白だ。

ここの学生なのかと浮かんで、年齢を思い出してすぐに否定する。

じゃあ先生…?
それとも外部の研究者か、関係者か。

再会の喜びより衝撃のほうが大きくて、立ち尽くすことしかできなかった。

呆然としていたら、前から歩いてきた学生が俺を怪訝そうに見た。
ジョングク
ジョングク
っ、、

慌てて顔を俯かせ、何でもないふりで歩き出す。そのまま学生の横をすり抜け、Vさんの前も通り過ぎる。

通り過ぎた、のに。
数歩進んだところで、脚が止まった。

気になる、、

Vさんが、というのはもちろんあるけど、かと言って素性は知られたくない。だからこのまま、知らん顔するべきなのはわかってるんだけど。

どうしても気になる、、

──落ちたままの本が。

今なら寝てるし大丈夫だよな…

くるりと踵を返し、足早にVさんの前へと戻ると、落ちてた本を拾いあげる。椅子の端にそっと置いて、静かにその場を離れようとした瞬間。

ぱち、と目があった。  

あの三白眼と。


V
V
………
ジョングク
ジョングク
っ…、、


喉まで上がってきた悲鳴を必死で飲み込んだ代わりに、全身が冷たい水を浴びたみたいに固まった。

だけど、Vさんの口が何か言おうと開いたのに気づいて。

次の瞬間には、勝手に動いてた身体。

図書館の静けさを破ることも構わず、俺は脱兎のごとく逃げ去った。








ちょいと体調を崩してしまって(もうだいぶ回復したので大丈夫です!)、投稿に間が空いてしまいました🙇‍♀️今日は投稿したかったので、間に合ってよかったです🙈

バンタン13周年記念!!
くぅー!めでたいですね🎉🫶




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