見上げた先にあったのはオレンジ色に柔らかく光る東京タワー
でもなんで…?
そう思ってると、先に降りていた康二がトランクの方から何かを出してこっちに歩いてきた
康二「これ、受け取ってくれる?」
『え、うん…』
手には大きな薔薇の花束
僅かなあかりから、オレンジ色が見えた
スーツのキメてる康二から、オレンジのバラの花束?
東京タワーの下で?
何この状況?
頭が着いてかなくて何も言えなくなってる私に、康二は続けて言った
康二「この花束な、44本あんねん」
『44本?
また微妙やな』
康二「ちゃんと意味調べてん」
『意味?』
康二「定番なんは108本の結婚してくださいなんやけどな?
それはもう部屋で言ったやん
せやからどうしよって思ったんやけど…
44本は、変わらない愛を信じるって意味があるんやって。
それ見て、あなたに贈るんやったらこれしかないって思ってん」
『変わらない愛…』
手元にある花束に視線を送る
この手には康二からの愛が乗ってる
そう思うと、重い花束がより重く感じた
それだけ私達の過ごしてきた月日は長くて、大切な思い出やった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!