Side大塚
合同練習が終わって観客も出待ち列に並びだしたころ。
明らかにトキは疲れ果てていた。
椅子にだらーんと座って、口から魂が抜け落ちて
到底イケメンとは思えない顔面をしていた。
話しかけようとしたけど、
トキの背後に気配を消して立っている小川さんに気付いてやめた。
何度も言うが目が怖い。
瞬きしてないんちゃうかこれ。
……とか言って!!俺らは退散したんやけど!!!
なんっだこれ!!
は!?いつの間にこんなことになってんだよ!!!
普通逆じゃね!?
小川さんがじーって見つめて
トキが顔真っ赤にして「やめてください…」みたいになるのが通常やないか!
何が起きてるって言うんや。
このイチャコラっぷりを至近距離で見させられてる身にもなってくれ。
隣の藍なんてやばいぞ。
目ぇガンギマリで
「これが攻守逆転…?マジで最高すぎる。今まで小川さんが攻めだったのにこんなことになっとるなんて…」
とかぶつぶつ呟いている。
…限界オタクってこんな感じなんかな。
太志さんは相変わらずきゃーきゃーギャルみたいに色んな人に
「ねぇねぇトキと小川見て。ヤバいことになってる。」
と嬉しそうに言いふらしている。
…JKよりJKしてないか。
もうえぐいことになっとるぞ。
とりあえず二人には二人の世界に入ってもらって、
今日は寝た。
どうにも寝付けなかったがなんとか寝た。
…明日の朝は事情聴取だな。絶対に吐かせてやるよあの野郎。
散々「ア゛ーーー小川さん尊い死ぬーーーー!!!!!」
とか抜かしてたくせになんだあのスカシ具合は。
何が「手の大きさも結構違いますねぇ」だ。
キョドりまくってた可愛いトキはどこに行ったんや。
あんな年下彼氏みたいなことせんかった。
朝起きたらベッドのそばにトキが立っていた。
手で顔を覆って座り込んだ。
やべぇなコイツ。
相当追い込まれとるぞ。
「マジで終わったもう無理死んだ」と言って床に寝っ転がった。
何をしているんだコイツは。
あれか。
疲れたところに好きピが現れて気が大きくなったみたいな感じか。
まぁよくあることよな。うんうん。
慰める訳ないやろ。
この野郎あんだけ気持ちがバレたら切腹するとか言ってたのに結局は自分からかよ。
小川さんあれだけアタックしてんのに気付かないのも悪いがな。
「イヤァもうどうしよう」と突っ伏した。
俺はベッドの上からそれを見下ろす。
…なんかもう一周回っておもろくなってきた。
こんなことでのたうちまわれるとかおめでたい奴やな。
しばらくしているとコン、コンとドアが鳴った。
トキと目を合わせる。
数秒後にはドン、ドンと明らかに音が大きくなった。
やばい、これは早く出ないとまずいやつだ。
一旦ドアスコープを覗いたら、
何考えているか全くわからない顔をした小川さんがいた。
ごちゃごちゃ二人で話しているとドア越しに声がした。
あ、これ終わった。
別にいつも通りの声だけど、底知れない凄みがある。
トキに目を向ければ首を左右にぶんぶん振った。
もうこれは突き出した方がええんやないか。
たぶん俺もシメられそうな気がする。
内鍵を開けてドアを開ける。
小声で「バカバカバカ!」と聞こえたが気にしない。
これが防衛本能というやつである。
目が笑ってない。
怖い。俺なんも悪いことしてへんのに。
えぐいえぐい怖すぎる。
俺はなんでこんな早朝からホラー体験せなあかんのや泣
相変わらず目ぇ死んどるのよ。
口調優しいところが怖さ倍増させとる。
俺の後ろに隠れていたトキは
いつの間にか小川さんに手を引かれていた。
手を振って部屋に戻っていく。
トキの顔が死んでた。
が、がんばれ~と苦い顔で手を振るしか俺はできなかった。
作者です。
今回と次の話は最初は一話にまとめる予定だったんですけど、3000文字超えそうなんで分けました。
ホント投稿頻度低すぎてごめんなさい。
新作とか腐れ縁なんて最後に更新したの8月ですわよ泣
でもコメントとかいいねとかしてくだすってガチ励みになっております🙏
あとフォロワー100人ありがとうございます!
始めた時からしたら考えられないことすぎて…
これからも頑張ります💪













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!