第32話

早朝ホラー
733
2026/09/20 12:30 更新




Side大塚




合同練習が終わって観客も出待ち列に並びだしたころ。

明らかにトキは疲れ果てていた。
椅子にだらーんと座って、口から魂が抜け落ちて
到底イケメンとは思えない顔面をしていた。

話しかけようとしたけど、
トキの背後に気配を消して立っている小川さんに気付いてやめた。


髙橋藍
ほんとトキさんのこと大好きよな
大塚達宣
それな。たぶんトキより気持ちは重いやろ



何度も言うが目が怖い。

瞬きしてないんちゃうかこれ。


大塚達宣
とりあえず退散するか
髙橋藍
そうやね




……とか言って!!俺らは退散したんやけど!!!

鴇崎
……(ニコニコ
小川智大
…あんま見んなし。
鴇崎
えぇ~


なんっだこれ!!
は!?いつの間にこんなことになってんだよ!!!

普通逆じゃね!?
小川さんがじーって見つめて
トキが顔真っ赤にして「やめてください…」みたいになるのが通常やないか!


何が起きてるって言うんや。
このイチャコラっぷりを至近距離で見させられてる身にもなってくれ。


隣の藍なんてやばいぞ。
目ぇガンギマリで
「これが攻守逆転…?マジで最高すぎる。今まで小川さんが攻めだったのにこんなことになっとるなんて…」
とかぶつぶつ呟いている。

…限界オタクってこんな感じなんかな。


太志さんは相変わらずきゃーきゃーギャルみたいに色んな人に
「ねぇねぇトキと小川見て。ヤバいことになってる。」
と嬉しそうに言いふらしている。

…JKよりJKしてないか。



もうえぐいことになっとるぞ。









とりあえず二人には二人の世界に入ってもらって、
今日は寝た。

どうにも寝付けなかったがなんとか寝た。


…明日の朝は事情聴取だな。絶対に吐かせてやるよあの野郎。
散々「ア゛ーーー小川さん尊い死ぬーーーー!!!!!」
とか抜かしてたくせになんだあのスカシ具合は。

何が「手の大きさも結構違いますねぇ」だ。
キョドりまくってた可愛いトキはどこに行ったんや。
あんな年下彼氏みたいなことせんかった。












朝起きたらベッドのそばにトキが立っていた。
大塚達宣
……朝っぱらからホラー体験さすなや。
鴇崎
……ごめん。
大塚達宣
何なん?こんな朝早くに。
鴇崎
俺、小川さんにヤバいことしてまった…


手で顔を覆って座り込んだ。

やべぇなコイツ。
相当追い込まれとるぞ。


鴇崎
昨日の練習後疲れててテンションやばくなっとって、


鴇崎
気が付いたら自分から抱きついて手ぇ繋いでて、


鴇崎
挙句の果てには大好きとか言ってしもうた…


「マジで終わったもう無理死んだ」と言って床に寝っ転がった。

何をしているんだコイツは。

あれか。
疲れたところに好きピが現れて気が大きくなったみたいな感じか。
まぁよくあることよな。うんうん。





大塚達宣
イタイ奴やな
鴇崎
グハッ!
大塚達宣
小川さん困惑したやろうな
鴇崎
ゴファッ!!


慰める訳ないやろ。

この野郎あんだけ気持ちがバレたら切腹するとか言ってたのに結局は自分からかよ。
小川さんあれだけアタックしてんのに気付かないのも悪いがな。



大塚達宣
昨日の夜はどうしたん
鴇崎
夜まではスイッチ切れてなかったんやけど、目覚めたらもう無理だった

鴇崎
あの小川さんの無垢な寝顔を見たら罪悪感が沸いてきたんよ



「イヤァもうどうしよう」と突っ伏した。


俺はベッドの上からそれを見下ろす。

…なんかもう一周回っておもろくなってきた。
こんなことでのたうちまわれるとかおめでたい奴やな。







しばらくしているとコン、コンとドアが鳴った。
鴇崎
!?

トキと目を合わせる。

数秒後にはドン、ドンと明らかに音が大きくなった。





やばい、これは早く出ないとまずいやつだ。
一旦ドアスコープを覗いたら、
何考えているか全くわからない顔をした小川さんがいた。


大塚達宣
お前行けよお前の問題やないか
鴇崎
ハァ!?無理無理今この状態で行ったら俺絶対殺されるって
大塚達宣
知るか早よ開けろ!






小川智大
トキ~?
鴇崎
ひぃっ!

ごちゃごちゃ二人で話しているとドア越しに声がした。

あ、これ終わった。
別にいつも通りの声だけど、底知れない凄みがある。

小川智大
俺別に怒ってないからさ、早く出てきて?

小川智大
まず怒る理由ないし。一緒に朝ごはん食べに行こうよ。

トキに目を向ければ首を左右にぶんぶん振った。


もうこれは突き出した方がええんやないか。
たぶん俺もシメられそうな気がする。

小川智大
トキ出てきて?ね?

内鍵を開けてドアを開ける。
小声で「バカバカバカ!」と聞こえたが気にしない。


これが防衛本能というやつである。
大塚達宣
…おはようございます。

小川智大
あ、大塚おはよ~

目が笑ってない。
怖い。俺なんも悪いことしてへんのに。

小川智大
トキやっぱりここにいた。

えぐいえぐい怖すぎる。
俺はなんでこんな早朝からホラー体験せなあかんのや泣


相変わらず目ぇ死んどるのよ。
口調優しいところが怖さ倍増させとる。

鴇崎
ぉはよ、ございます。
小川智大
ん、おはよ。部屋戻ろっか。
鴇崎
はぃ。


俺の後ろに隠れていたトキは
いつの間にか小川さんに手を引かれていた。

小川智大
ごめん朝早くに。ばいばい~

手を振って部屋に戻っていく。


トキの顔が死んでた。
が、がんばれ~と苦い顔で手を振るしか俺はできなかった。











作者です。
今回と次の話は最初は一話にまとめる予定だったんですけど、3000文字超えそうなんで分けました。
ホント投稿頻度低すぎてごめんなさい。
新作とか腐れ縁なんて最後に更新したの8月ですわよ泣
でもコメントとかいいねとかしてくだすってガチ励みになっております🙏

あとフォロワー100人ありがとうございます!
始めた時からしたら考えられないことすぎて…
これからも頑張ります💪





プリ小説オーディオドラマ