____綺麗な薔薇には棘がある。
甘い匂いを放つ花にも、毒がある。
喫茶店にいるときのこと。
携帯を弄りながら珈琲を飲んでいるところに、二人の男性がやってきた。
仕事仲間____ではなかったようだ。
一人目の男は20代後半といったところだろう。
ガタイもそこそこ大きい。
明るく二人目の男性を誘導し、対面する形で座った。
二人目の男性は、大きな花束を持っていた。
二人の話に聴き耳を立ててみると、どうやら商談相手だったらしい。
普通、お祝いものだとするのなら、定番なのは胡蝶蘭とかだと思うのだが。
ま、私には関係のない話だ。
そう思いカウンター席の椅子をくるりと回転させて私は立ち上がる。
ラッパ____
その言葉にピンときた私は、直様その二人のところまで向かい、花束を取り上げた。
花束を渡そうとした男性は、いきなり急いで立ち上がりこの場を去ろうとした。
勿論そんなの、許すわけない。
私はすかさず男性の腕を捕まえる。
私は被害に遭いかけた男性と、店の店員たちを遠ざけた。
携帯で国木田さんを呼び出し、来るまでは犯人の事情聴取となった。
仕方ない、異能で確かめるか。
____表向きは会社。
でも裏は違う。
なんだ……?
マフィアと似た構造だ。
しかもボロが出ないように、このモブに何一つ重要なことは教えてない。
此奴から引き出せるものはもうないか。
私は男を拘束して、被害に遭いかけた男の方へ向かう。
馴れ馴れしい…
会社だから、外から輸入してきたのかも。
イランイランに続いて、アサガオとなると……
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!