第65話

悪魔の息
2,331
2023/11/06 09:45
____綺麗な薔薇には棘がある。
甘い匂いを放つ花にも、毒がある。
(なまえ)
あなた
___…
喫茶店にいるときのこと。
携帯を弄りながら珈琲を飲んでいるところに、二人の男性がやってきた。
仕事仲間____ではなかったようだ。
一人目の男は20代後半といったところだろう。
ガタイもそこそこ大きい。
明るく二人目の男性を誘導し、対面する形で座った。
二人目の男性は、大きな花束を持っていた。
二人の話に聴き耳を立ててみると、どうやら商談相手だったらしい。
(なまえ)
あなた
(それにしても、あの花束____あまり見かけたことないな)
普通、お祝いものだとするのなら、定番なのは胡蝶蘭とかだと思うのだが。
ま、私には関係のない話だ。
(なまえ)
あなた
(さて、私も探偵社に行くとするか)
そう思いカウンター席の椅子をくるりと回転させて私は立ち上がる。
???
それにしても随分とご立派な花ですな。
ラッパのような形をしてて、実に面白い。
モブ
モブ
こちらは支店オープン記念にと、社長から
???
いやぁ、有難い。
(なまえ)
あなた
____…
ラッパ____
その言葉にピンときた私は、直様その二人のところまで向かい、花束を取り上げた。
モブ
モブ
なっ
???
おい、君!
いきなり何なんだ!?
(なまえ)
あなた
____この花、とても綺麗ですね。
モブ
モブ
何を言って…
(なまえ)
あなた
吸ったら危うく、甘い香りに惹き込まれてしまいそうだ
モブ
モブ
!!
花束を渡そうとした男性は、いきなり急いで立ち上がりこの場を去ろうとした。
勿論そんなの、許すわけない。
私はすかさず男性の腕を捕まえる。
(なまえ)
あなた
この花が、猛毒のものだと知っていて渡したのか?
モブ
モブ
俺はただっ、その花を渡せと言われただけだ!
何も知らない!
(なまえ)
あなた
事情がどうであれ、起きていることは事実だ。
大人しくここで吐かなきゃ、お前にこの花吸わせるぞ
モブ
モブ
ひっ…
(なまえ)
あなた
(____とまぁ、これくらい脅せば逃げるのは諦めるか)
私は被害に遭いかけた男性と、店の店員たちを遠ざけた。
携帯で国木田さんを呼び出し、来るまでは犯人の事情聴取となった。
(なまえ)
あなた
お前ンところの社長は誰だ?
モブ
モブ
…………
(なまえ)
あなた
おい、日本の黙秘権行使すんな
仕方ない、異能で確かめるか。
(なまえ)
あなた
…………
____表向きは会社。
でも裏は違う。
なんだ……?
マフィアと似た構造だ。
しかもボロが出ないように、このモブに何一つ重要なことは教えてない。
此奴から引き出せるものはもうないか。
私は男を拘束して、被害に遭いかけた男の方へ向かう。
(なまえ)
あなた
あの、大丈夫でした?
???
あ、ああ。
お嬢ちゃん、あの花は一体…?
(なまえ)
あなた
(お嬢ちゃん…)
馴れ馴れしい…
(なまえ)
あなた
あの花は、キダチチョウセンアサガオ____別名、悪魔の息デビルズ・ブレスと呼ばれています。
???
何だそれは…?
(なまえ)
あなた
有毒植物の一種です。
匂いさえ吸って仕舞えば、幻覚が見えたり、ゾンビのようなトランス状態になったりします。
???
なっ……
(なまえ)
あなた
(それにしても、こんな花____何処で入手したんだ?日本でそう見られるような花でもないし…)
会社だから、外から輸入してきたのかも。
イランイランに続いて、アサガオとなると……
(なまえ)
あなた
(ただの思い過ごしでもなさそうだ)

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