月は、空高くに浮かぶ光の都。
そこでは地上と変わらず、
月の人々が暮らしていた。
そして、妾はその都に住むエリート使者。
姫を連れ戻す任を引き受けられるくらい
にはエリートで、かなりすごい使者だと
" 自負 " している。
でも、自負は自負。
月のお偉いさんは、
妾を認めてくれなかった。
だから本当は、
いわゆる " 下っ端 " というやつ。
早く下っ端から抜け出したくて、
役に立ちたくてそう願い出れば、
言い渡されたのは思いのほか重い罰。
それにビビって、
やっぱりやめようかな……
なんて言おうとした時。
背中を押されて、
あっという間に月から落っことされた。
しかも落ちた先は森の中。
地上へ落ちてから数日、妾は
森の中をさまよう羽目になった。
そんなこんなで心が折れかけていた時、
森の出口が見え、ある人間とも出会う。
月が照らす暗闇の中を
所々が木の枝に引っかかって破れた着物姿に、
枝や葉っぱで切り傷だらけの素足で歩いていた
時、美味しそうな匂いが鼻をくすぐった。
食べ物の匂いを辿れば、1人の男がいた。
そして男へ食べ物をねだって数秒後、
見つめあっていた沈黙の中に
グゥ~と妾のお腹が鳴り響いた。
後に彼の名は、" 酒寄朝日 " だと知る。
そして、妾の地上での生活が始まった。
──── start 落っこちたのは月の使者












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。