前の話
一覧へ
次の話

第1話

 000 . 月と使者 ¿?
469
2026/03/11 11:04 更新





 月人
次の十五夜、
地上へ降りた姫を連れ戻しに行く
 月人
月の仕事を蔑ろにするなんて、
姫にも呆れたものだ





   月は、空高くに浮かぶ光の都。

   そこでは地上と変わらず、
   月の人々が暮らしていた。




︎︎
なら、わらわに任せてくれないか?
必ず姫を連れ戻すことを約束しよう





   そして、妾はその都に住むエリート使者。

   姫を連れ戻す任を引き受けられるくらい
   にはエリートで、かなりすごい使者だと
   " 自負 " している。




 月人
貴方に務まるはずがないでしょう。
" 雑用係 " なんですから





   でも、自負は自負。

   月のお偉いさんは、
   妾を認めてくれなかった。

   だから本当は、
   いわゆる " 下っ端 " というやつ。




︎︎
妾はすごいんだぞ!絶対できる!!
ものの数秒で任を終えられる
 月人
……はぁ、わかりました。
そんなに言うならやってみなさい。
ただし、出来なければ月を追放します。
いいですか?
︎︎
つ、追放?!





   早く下っ端から抜け出したくて、
   役に立ちたくてそう願い出れば、

   言い渡されたのは思いのほか重い罰。

   それにビビって、
   やっぱりやめようかな……
   なんて言おうとした時。





 月人
さぁ行きなさい。
健闘を祈りますよ
︎︎
嘘ぉ?!





   背中を押されて、
   あっという間に月から落っことされた。

   しかも落ちた先は森の中。

   地上へ落ちてから数日、妾は
   森の中をさまよう羽目になった。




︎︎
ここどこーー!姫様ぁぁ!!
……出てきてよ、帰りたいよ





   そんなこんなで心が折れかけていた時、
   森の出口が見え、ある人間とも出会う。




︎︎
やっと、人の住む街へ出た……!
……でもお腹減った、疲れた





   月が照らす暗闇の中を
   所々が木の枝に引っかかって破れた着物姿に、
   枝や葉っぱで切り傷だらけの素足で歩いていた
   時、美味しそうな匂いが鼻をくすぐった。




︎︎
おいお前、その食べ物をくれ!
︎︎
……俺に言ってる?
︎︎
お前以外いないだろう
︎︎
………
︎︎
………





   食べ物の匂いを辿れば、1人の男がいた。

   そして男へ食べ物をねだって数秒後、
   見つめあっていた沈黙の中に
   グゥ~と妾のお腹が鳴り響いた。




︎︎
……お腹減った
︎︎
仕方ないな、ほら
︎︎
……いいのか?
やった…じゃなくて、感謝するぞ人間!





   後に彼の名は、" 酒寄朝日 " だと知る。
   そして、妾の地上での生活が始まった。




     ──── start 落っこちたのは月の使者




プリ小説オーディオドラマ