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第1話

溶けゆく恋は水の中
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2024/03/27 02:49 更新
_____真っ暗闇が取り巻くこの世界に何を描こう?何色に彩ろう?


そんなことを、転落防止の柵に跨がりながら考えていた。


自分の透明感のある茶色の髪の毛が、風に惨めにもゆられて、それに呼応するように池の水も揺れて。





泪で滲んで、何も見えなくなって、


青と緑の見分けなんかつかなくなって、


足の間に風が通る。






だからこそ、そこに誰かが存在(い)ることに気付かなかった。




et.
et.
………誰かいる?
na.
na.
…誰も居ないよ?笑



そこに居たのは、可愛らしいピンク髪の、今にも消えてしまいそうな透き通った肌を持つ、


同級生の「のあさん」だった。


et.
et.
嘘つき笑
na.
na.
ごめんごめん笑嘘だよ~


na.
na.
…ところで、なんでこんなところにいるの?
et.
et.
…別に何もないよ
na.
na.
…嘘つきはどっちですか?
et.
et.
………、



…私は黙り込んだ。別に嘘を吐(つ)いてるわけでもない。


けど、なんか、こう、その瞳に吸い込まれるように。見入ってしまって。
et.
et.
…………はぁ
na.
na.
悩み事でもあるんですか?
et.
et.
…………強いていうなら
et.
et.
えっ?


足を滑らせたのか、或いは自らやったのかは、分からなかった。


けど、確かに水は音を立てた。彼女は姿を消した。水滴の冷たさがこちらへ伝わってきた。



____なにかを話している


na.
na.
一緒に泳ごーよ!
et.
et.
え?のあさん?そんなんしたら溺れるよ___?


夜の暗がりでよく見えなかったけど、彼女は服を着たまま深い池へと降りていた。


でも彼女は、此方へ手を伸ばして、やさしい微笑みを浮かべて。


na.
na.
大丈夫、大丈夫だから____。
na.
na.
辛いでしょ?こっちへおいで?
et.
et.
…え、でも、死んじゃうよ…?


もはや正気の沙汰ではなかった。


私は首を横に振った。

目の前の未知、恐怖を前に、死にたくないという感情が何よりも出しゃばった。


na.
na.
…ねえ、こっちに来てよ……


彼女は震えて弱々しい声でそう言った。



na.
na.
私のことが好きならさ…………?
et.
et.
えっ?



胸に激痛が走る。


心臓が早く脈打つ。しもやけの指の先までが温まる。



まさにその通りだった。私は、

____かわいくて、やさしくて、どこかふわふわしている。そんな彼女が好きだった。



そして、ずっと思ってた。何度も挑戦した。「何時かきっと、告白するぞ」って。


甘く儚い恋をしていたのかもしれない。






でもそんな恋の存在を、まさか彼女は勘づいていたのだろうか。

それとも、からかっているだけなのだろうか。




…私には、理解(わ)かることはなかった。







______でも、
et.
et.
……そうだよ、私は…、


今ならなんとなく、全部言える気がした。

et.
et.
…のあさんのことが
et.
et.
ッ好き…だけどさ、っ
na.
na.
…ありがとう
na.
na.
私たちいつも仲良いもんね!
et.
et.
…違う、そうじゃないよ、ッ(ボソ


…やっぱりまぁ少しの期待はしていたけど、案の定間接的に否定されたような感覚になる。


同時に、自己嫌悪に陥る感覚もした。



彼女は、だいすきな彼女は。少なくとも、私と"友達"であることを望んでいる。


そんなことにも気づけなかったの?





そんなことにも…




et.
et.
や、やっぱなんもない…




na.
na.
…そう?
et.
et.
…………、
et.
et.
…ぁ、



水面に写った自分の顔は、絶望を写しだしていた。


もしかすると、自己嫌悪でどうにかなってしまいそうになっている表情かもしれない。




…そして、彼女の顔がほのかな月明かりに照らされ、青白く輝く。




_____ここに立ってはいられないほどの引力を感じた。


単なる思い込みだけど、とてもここに立ってはいられない。







私は彼女の白い腕を取った。


et.
et.
のあさん…っ!!
na.
na.
えとさん?


_____水は音を立てて、私たちの身体は暗闇の中に溶けていった。




最期に、彼女の顔を眺めながら、こう言った。

et.
et.
綺麗だね_____



すると彼女は、ほくそ笑んで、


na.
na.
やっと一緒になれるね!



_____と言った。



全て分かりきったことだったらしい。











そうして、ふたりの甘い身体は水の中に溶けてなくなった。

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