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第8話

誤解
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2025/02/24 09:04 更新
柊がベッドの上に座ってゆっくりしていると、涼風からメッセージが届いた。


「水音くんから柊くんの話を聞いたんだけど、水音くんがいじめられていた時に助けたのは柊くんだったのはほんとなの?」


柊が返信する。


「そうだよ でもまあ、あんなのただの偶然だけどね」


涼風から返事が返ってくる。


「へぇ、そうなんだ 以外だね」


柊が涼風にメッセージを送る。


「俺、涼風と仲良くしたい」


涼風から返事が返ってこなくなった。


柊がため息をつく。


齋藤や佐藤とは仲良くしているのに、どうして自分だけ仲良くしてもらえないのだろうか。


遊びに誘ったり、毎日メッセージで話し合っているのになかなか心を開いてくれない。


もう、いっそのこと諦めてしまおうかと、柊は思った。




数分後。


涼風から返事が返ってくる。


「考えとく」




数ヶ月後。


休み時間に柊が自分の席でスマホをいじっていると、佐藤に声をかけられる。


「ねぇ!柊!聞いてよ!」


柊が手を止めて佐藤の顔を見る。


「…なに?」


すると、佐藤が心配そうな顔で柊を見つめる。


「柊?今日、なんか暗いよ?どうしたの?」


柊が作り笑いをして誤魔化す。


「なんでもない。気にするな」


佐藤が首を傾げる。


「ほんと…?なんか、すごく悲しそうな顔してるよ?」


柊がため息をつく。


そして、事実を語り出す。


「どうしたら…俺は涼風と仲良くできるんだよ…」




5年前。


柊が小学校6年生の時。


同じクラスに、ものすごく可愛い女子生徒がいた。


その子はすごく真面目で、誰にでも優しくて、明るくて、クラスのみんなから少し人気があった。


そして、柊はそんな女子生徒に一目惚れしてしまった。


そんなある日。


昼食を食べた後、クラス全員で教室や廊下の掃除をする。


柊は、教室の掃除をしていて、掃き掃除の担当をしていた。


偶然、柊が好きな女子生徒も教室の掃除をしていて、机拭きと机運びの担当をしていた。


彼女が机を拭き終え、一生懸命机を運んでいる。


彼女が柊の机の前に立って、机を運ぼうとしている。


彼女の手が柊の机に触れた、その時。


柊が大きな声を出す。


「俺の机に触るな!」


ほんとは机に触れたっていい。


でも、好きな人に机を触れられるって考えると、恥ずかしくて、嫌がっているように言ってしまった。


彼女がびっくりして固まっている。


ごめんなさいって言えばすぐに許してもらえたはずなのに、柊は恥ずかしくて謝ることが出来なかった。




「小6の時から俺は涼風のことが好きだったんだよ…」


柊が涙目になりながら言う。


佐藤が柊に問いかける。


「今も好きなの?」


柊が頷く。


「でも俺があんなこと言ったから…涼風を辛い思いさせたから…」


佐藤が口を開く。


「そのことをさ、琥羽ちゃんに正直に話せば、何とかなるんじゃない?」


柊が机に突っ伏しながら言う。


「最初はそう思ったよ。でも、誤解が解けなかったらって思うと…言いづらくて…」


佐藤が微笑む。


「それは言ってみないと分かんない!さあ、頑張って琥羽ちゃんに言いにいこ!」




2年後。


高校を卒業した柊は、写真専門学校に通っている。


そんなある日。


柊が京都駅に行って京都タワーの写真を撮っていると、1人の女性がアドバイスする。


「柊くん!下から撮る時はもっと腰を下ろして!」


「は、はい!すいません!」


柊が腰を下ろして京都タワーの写真を撮る。


シャッター音が鳴ると、先程の女性が柊に近づいてくる。


柊が女性に京都タワーの写真を見せる。


「結構綺麗に撮れたんじゃない?!」


女性がカメラを覗き込む。


「ほんとだ!すごく綺麗に撮れてる!」


柊が女性に褒められて喜ぶ。


「こんなに綺麗に撮れたのは君がアドバイスをくれたおかげだよ!ありがとう!」


再び柊が話し出す。


「それと、大好きだよ!」

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