(大森Side)
最近、怖い夢を見る。
誰かに追いかけられ、背中を刺され、その瞬間起きる。
こんな夜が大嫌いだ。
ギュ
寝るのが怖い。
夜が来るのが怖い。
でも…隣に大好きな彼女がいたら、なんとかなる気がする。
あなたの下の名前をお姫様抱っこして、ベッドまで運ぶ。
ドサッ
ムギュ
僕が眠りにつくまで、ずっと頭を撫でてくれた。
彼女の方が年下なのに、なんでこんな”お姉ちゃん”みたいな安心感があるんだろう。
そんなことを考えてるうちに、夢の中に行ってしまった。
また…あの夢。
(あなたの下の名前Side)
元貴の頭を撫でているうちに、私も睡魔が限界まで襲ってきた。
元貴がいるから大丈夫。そう願って眠りについた。
夢
ダッダッダッダッ
グサッ
グサッ
ザクッ
グサッ
周りは、見覚えのある寝室。
隣には寝息を立てて眠っている元貴。
今までで一番の悪夢を見てしまった。
どうかこれがただの悪夢でありますように。
(大森Side)
隣にいたはずのあなたの下の名前がいない。
なんで?昨日頭撫でてくれていたのに。
ずっといっしょにいたのに。
寝室を出ると、洗面所から物音が聞こえる。
そこには、鏡の前で下を向いて過呼吸になっている
あなたの下の名前がいた。
バレバレなんだ。全部誤魔化しているのも知っている。
でも…彼女が話せるときに聞いてあげたいから。
もう少し待つことにした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。