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第1話

1話 湿気
1,039
2024/07/11 11:00
iw side

























俺の視界を埋め尽くすのは、

心配になるほど真っ白で綺麗な体。

鼓膜を刺激するのは、

6月の雨とは関係なく湿気を含むふっかの声と、

それをかき消すかのように暴れる雨の音。
善がりながら俺の名前を呼ぶこの人の目に、

俺の姿は写ってないみたい。

ねえ、明日になったら忘れてるんでしょ

分かってるよ、この記憶は、

あんたにとってはたかが「今」に過ぎない

で、明日になったら酒で全部洗い流されてんの

分かってるよそんな事

分かってんのに、





もう溺れちゃってんの


本当は、覚えていて欲しいなんて言葉

言える訳もなく飲み下す。

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