翌日。
告別式の時間がとうに始まっている頃、俺はまだ寝室の隅で膝を抱えていた。
カーテンの隙間から差し込む光が、今はただ痛かった。
スマホは何度も震えていたけれど、見る気にもならなかった。
俺は行けない……俺には資格がない……
昨日と同じ言葉を何度も繰り返す。
胸の奥の穴はさらに深く、暗くなっていた
その時、部屋の空気がふっと揺れた。
顔を上げると、そこにあなたがいた。
昨日と同じ、白く透ける体。
でもその表情は昨日よりもずっと強い光を宿していた。
彼女は震える声で続けた。
その叫びが胸を貫いた。
息が詰まり、言葉が出ない。
彼女は真っ直ぐに俺を見ていた。
ようやく絞り出した声は、かすれて震えていた。
彼女の声が鋭く響いた。
その言葉に、心の奥の何かが崩れ落ちた。
彼女の手が、透けながらも俺の頬に触れようと伸びてきた。指先は冷たいはずなのに、胸の奥は熱くなる。
声が震えていたが、確かに頷いた。
次の瞬間、俺は玄関に向かって走り出していた。
靴をつっかけ、ドアを開ける。
外の風が頬を叩く。
そのまま、葬儀場の方向へ全力で駆け出した。
胸の奥にはまだ痛みがある。
罪悪感も消えていない。
けれど──彼女の願いだけは絶対に叶えたい。
その言葉を風に乗せながら、俺は走り続けた。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。