神の名を称える儀式が終わると、信者たちは一斉に礼拝堂を出て行った。
残されたユダは、ひとり小さく背を丸め、木製の長椅子に腰を下ろしたままだった。誰とも目を合わせないように、視線はずっと自分の膝に落ちている。
そのとき、気配が近づいた。
近づいた人と目を合わせないようにじっと下を見つめていた。
「ユダ」
優しくて暖かい声だった
思わず顔を上げる
どこまでも静かな青い瞳、光を受けてキラキラと輝いている白い髪、自分とは何もかも真逆な存在だった。
自分の目の前にいたのは_教祖様だった。
すぐに視線をそらそうとしたユダに、少しづつ教祖様が近づく、反射的に殴られると思い目をぎゅっと瞑る。
教祖様はオレの頬を触り囁くように言った
「君は特別だよ」
不思議と目に熱が集まる。
その言葉がユダの中で何度も何度も繰り返された
ユダの中で初めての希望だった
誰かに必要とされる、誰かに特別だと思われているなら、まだ、耐えようと決心した。
あなたに必要とされるなら、自分はどれだけ苦しくても、冷たくても、痛くても_












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!