第8話

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2025/10/14 21:00 更新



猛烈な胸の痛みで目が覚める


まだ死ねなかったか、
気を失ったまま逝けると思ったけど




はっ、とふいに違和感に気付く



淡い色の天蓋付きベッド
少し横に目をやると品のある化粧棚
室内の明かりはロウソクやランプではなくシャンデリア

暗殺とは懸け離れた今までで1番幸せな景色




待ち望んでいた景色が見えたからといって
安心できるはずがない

ここはどこなのか、まさかソルジャーが匿ってくれた?



あ、起きた?
まさか自分の事刺すとは思わないよねぇ
てかさ、この部屋で大丈夫?
ちょっと子供過ぎたかな…



咄嗟に腰の短銃を取ろうとする、
がしかし、無い、というかいつもの服じゃない
ちゃんとした貴族が着るようなネグリジェ
これじゃあほんとに唯のお嬢様みたいだ
あなた
は、何でお前が…
やっぱ知ってる感じ?


暖かな日差しを思わせる、蜂蜜を溶かした髪に
アメジストの瞳、甘ったるくとろけるような声色
知ってるも何も、私はこの男が大嫌いだ

私の両親を殺した風楽家



その嫡男、風楽奏斗が大嫌い



fur
…って事なんだけど、
fur
…聞いてんの、


聞いているかって?そんなの聞いてるに決まってる
敵対組織でありこの世界を牛耳るトップクラスのマフィアのボスの話を誰が聞かないんだ


断じて聞いていなかった訳では無い

聞きたくないし理解したくなかっただけだ
あなた
ほんと意味分かんない、
あなた
馬鹿なんじゃないの、
あなた
いい?婚姻は断るから
あなた
てか、さっさと風楽家ここから出して
fur
ほら、聞いてない〜
fur
別に結婚しろなんて言ってないから
 
fur
今後、同世代くらいの女が必要になる
fur
主に任務とかでね、
fur
パートナー役で仕事を与えてやってんの
 
あなた
なに、その口振り
あなた
金なんか余るほどあるんでしょ、
あなた
それくらい雇えば?
あなた
そもそも、私にメリットないじゃない
fur
君のメリットは衣食住ある事
fur
それから、富と名誉かな
fur
椛実を超える待遇を約束しようか


欲しいもの何でもくれるって?

くだらない、そんなの貰って何の足しにもならない
私が欲しいのはそんな安っぽい富なんかじゃない
あなた
名誉って
あなた
“風楽の配偶者”が名誉になるとでも?
あなた
とんだ大間違いね、
あなた
私にとって汚名でしかないわ
 
fur
…よく言うよ
fur
君を選んだのは都合がいいだけ
fur
お前が欲しいわけじゃない
fur
君はちょっと自分を過大評価
し過ぎなんじゃない、
fur
君単体でどれくらいの価値があるの?
あなた
その言葉、そのままお返しするけど?

fur
…無駄によく動く口だね
fur
今すぐその喉掻っ切ってやろうか
あなた
どうぞ、
あなた
それで私に勝てたと思うなら間抜けな人ね
fur
へぇ、君の家族が悲しむよ、
あなた
家族なんかとっくに…
fur
知ってるけど?
fur
僕の親が殺したんだ
fur
残された君に出来ることは何だろね
fur
せいぜい椛実を背負って生きることかな
 
あなた
っ、ほんと人じゃないのね
fur
風楽ここで常識は通用しないよ、
fur
ね、お姫様






fur
…また夕食で、
fur
さっきの答えてもらうから



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