猛烈な胸の痛みで目が覚める
まだ死ねなかったか、
気を失ったまま逝けると思ったけど
はっ、とふいに違和感に気付く
淡い色の天蓋付きベッド
少し横に目をやると品のある化粧棚
室内の明かりはロウソクやランプではなくシャンデリア
暗殺とは懸け離れた今までで1番幸せな景色
待ち望んでいた景色が見えたからといって
安心できるはずがない
ここはどこなのか、まさかソルジャーが匿ってくれた?
咄嗟に腰の短銃を取ろうとする、
がしかし、無い、というかいつもの服じゃない
ちゃんとした貴族が着るようなネグリジェ
これじゃあほんとに唯のお嬢様みたいだ
暖かな日差しを思わせる、蜂蜜を溶かした髪に
アメジストの瞳、甘ったるくとろけるような声色
知ってるも何も、私はこの男が大嫌いだ
私の両親を殺した風楽家
その嫡男、風楽奏斗が大嫌い
聞いているかって?そんなの聞いてるに決まってる
敵対組織でありこの世界を牛耳るトップクラスのマフィアのボスの話を誰が聞かないんだ
断じて聞いていなかった訳では無い
聞きたくないし理解したくなかっただけだ
欲しいもの何でもくれるって?
くだらない、そんなの貰って何の足しにもならない
私が欲しいのはそんな安っぽい富なんかじゃない












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。