_________
授業が終わる合図のチャイム
稲荷崎高校2年生の角名倫太郎は
私の"モノ"なのに
_________
「ねぇ、すなくーん!」
2時間目の休み時間私が倫太郎に話しかけに行こうとすると
また邪魔者だ
「んー?なにー」
ねぇ倫太郎。
倫太郎の席に近寄っていく邪魔者を、私が睨んでいるの
気付いてないの?
「えっとね!ここ!教えて欲しくて〜」
媚びを売るような喋り方で倫太郎の机にノートを置く
すると倫太郎は
「あ、いいよー」
と邪魔者と話し続ける
「っっ……」
「ねーあなた顔怖いよ」
って友達に指摘されるけど
そんな声私に届いてるはずない
_________
「倫太郎、ちょっと」
と邪魔者の間に入って話す
「今度の"デート"の話したいな」
わざとデートという言葉を強く発すると邪魔者は顔を顰める
「ん、いいよ、」
いつもより目を細めて笑う倫太郎
「あっち、来れる?」
「はいはーい」
返事をして席を立つ倫太郎
「ぇ、倫太郎くんっ!」
邪魔者物がそう言うけど
「ごめん」
そう一言言って私の手を取った大きい手
どうやったら分かってくれるんだろう。
そう思って教室を出た
_________
角名倫太郎side
2時間目の休み時間
俺はクラスメイトと話していた
「あ、いいよー」
と、軽く頼みを受けてわざと距離を詰めると
こちらを険しい顔で見る彼女
それが、愛されてる証拠で
幸せだと思ってる俺はきっと狂ってる
このクラスメイトはまぁ、引き立て役だ
「あ!そうそう、すごいじゃん」
勉強を教えていると
「倫太郎、ちょっと」
と彼女が話に入ってきた。
わざとデートという言葉を大きく発する彼女は
なんて愛おしいんだろう
「はいはーい」
と返事をし、クラスメイトとの会話を適当に流して
教室を出た
_________
あなたの下の名前side
がらがらと空き教室の扉を開ける
倫太郎、私あなたを愛してるんだよ
「ねぇ、倫太郎?」
「なに?」
まるで知らないような顔をして少し笑う倫太郎
「分からない?この前も、いった、」
倫太郎は私の事愛してないのかな?って不安になって泣きながら倫太郎に抱きつく
「あ、そうだね、ごめん」
「倫太郎、わたしのこときらい?」
「ううん。すき。愛してる。」
そう言って手で私の涙を拭って口付けをする倫太郎
「もう、女の人と話さないでよ」
「うん、ごめんね」
「ちょっと、しゃがんで」
倫太郎の肩に手を伸ばす
「ん?うん」
しゃがんでくれた倫太郎の首元をかぷっと噛む
「わ」
「ふふ、倫太郎、私のものだよ」
「絶対離さないでね?」
「絶対離さないよ」
そう言って倫太郎も私の首に痕を付けて私を抱きしめた
倫太郎、愛してるよ。
_________
俺の手を引いて向かった空き教室に着いて彼女はがらがらと扉を開けた
入って扉を閉めてすぐ俺の方を見て
「ねぇ、倫太郎?」
とどこか寂しそうな顔をして話し始める彼女
「ううん。すき。愛してる。」
と涙を流して俺に抱きついた彼女を離して、涙を拭ってあげて沢山沢山口付けをした。
すると凄く幸せそうな彼女
「ふふ、倫太郎、私のものだよ」
「絶対離さないでね?」
と俺の首元に噛み付いて幸せそうに微笑む彼女に
「絶対離さないよ」
と言って俺も首元に痕を付けて抱きしめた
あなたの下の名前、愛してるよ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!