_お前の彼女さん寒いのか知らんけどクラスの男子にジャージ借りようとしてんぞー
1限目の後、クラスの奴らと話してると1件の通知が入って、見てみると彼女と同じクラスの花巻からだった。
そんなん無理に決まってんじゃん。彼女に他の男の服着せるとか絶対無理なんですけど。
返信もせず、「どーしたんだよ」とか聞いてくるクラスメイトも無視してジャージを持って教室を出た。
1組から3組。いつも短く感じる廊下が、いつもより長く感じて、もう借りてたらどうしよう。とか考えながら走った。
教室について勢いよく扉を開けるとクラスメイトから視線が刺さった。
もちろん、彼女からもジャージを貸そうとしてた奴からも。
彼女と目が合うとぱぁっと顔が明るくなってこっちに寄ってくる。
ジャージを貸そうとしてた奴からは笑顔が消えた。
まだ借りてなかった。良かった。
「いっせーい!どーしたの?」
駆け寄ってきて俺に抱き着いた彼女。
「あったかい!もうずっとここに居たーい!」
そういう彼女に俺も腕を回して
ジャージを貸そうとしてた奴を睨んで時計に目を向ける。
残りの休み時間を確認して
「あなた、ちょっとこっち来て」
と彼女の腕を引っ張る
「わわ、どーしたの?!」
って焦りながらもしっかり教室の扉を閉める彼女。
6組の横にある空き教室に入って
机の上に彼女を座らせた
「え、なに、なに?!」
と状況を理解していない彼女。
「ジャージ、貸してあげる。俺の」
出来るだけ怒りたい気持ちを抑えて笑顔を作る
「え、でも××くんが貸してくれるって!」
「だから大丈夫!ありがと!」
なんにも気付かず無邪気な笑顔で言ってくるものだから怒れない。
「あいつあなたの下の名前の事好きなの。勘違いさせちゃ駄目でしょ?」
って言うと納得したように顔を上げて
「そうなの?!だったらだめだ!借りるね!ありがと!」
俺からジャージを受け取って話し始める。
「窓空いてて風邪当たる席だから寒いんだ〜」
「そしたら、××くんがーー!」
もうその名前を聞くだけでもイラついて、
どうにかあなたの下の名前は俺の彼女って再確認させてやりたくて、どうするか、と悩んだ末。
「こっちおいで」
と腕を広げる
すぐにぱぁっと顔を明るくして飛び付いてくる。
小動物みたいで同い年とはとても思えない。
「あったかい?」
とあなたの下の名前を抱き締めて聞くと
「あったかいー!」
と口をもごもごさせながら俺の胸の辺りに顔を埋める
「もう××からなにも借りちゃ駄目だよ。」
片手であなたの下の名前の頭を撫でながら言う
「ぇ、うん?なにも借りちゃだめ?」
顔を上げて上目遣いで言ってくる
「うん、勘違いしちゃうからね?」
彼女の首元に顔を埋めて跡を付ける
「っ、わ、?」
満足して彼女をもう一度抱き締める
「な、なに?!」
「んー?俺のあなたの下の名前っていう印?」
まだぽかんとしているあなたの下の名前が着た俺のジャージの襟を折って跡を見えるようにする。
「はぁぃ、昼休憩に返しにいくね!ありがとう!」
少し頬を赤らめる+俺の服を着てる。
条件が最高すぎて理性を保てそうになかった。
俺を上目遣いで見つめてくるからあなたの下の名前の頭の後ろに手を添えて唇を奪う
何回も何回も角度を変えながらキスをすると茹でダコのように赤くなっていくあなたの下の名前
「なに、!もう授業はじまっちゃう!」
あなたの下の名前が自分の手で口を塞いでキスを出来ないようにすると同時に授業開始5分前のチャイムが鳴る
「はいはーい、またお昼ね?教室迎えに行くから。」
そう言って2人で空き教室を出た
この時絶望した××の顔を見たかったって言うのは秘密にしておこう。
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「あの顔、傑作だな。」
昼休憩、迎えに行ったついでに花巻と話していると急に笑い始めた。
「ずっとあの顔なんだよ」
大きな笑い声まで出して笑うから
「性格わるっ」
と言うと
「お前もだろ」
となんでもお見通しのように言われた。ほんとに当たってるから怖い。
「まぁ俺も?あいつうざいって思ってたし?今回は飯奢らなくてもいいぜ」
とぐっとポーズをされた。××。花巻に嫌われていてくれてありがとう。
「いいねー彼シャツ」
「俺も彼女つくりてー」
って花巻が言ってくるから
「まじで彼シャツの破壊力はやばい。もう今からでも襲える。」
って自慢しといてやった。
今日部活終わり覚悟しといて欲しい。絶対襲う。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!