前の話
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『 ··· 』
家に帰ったら 、 ソファの下で体育座りをして
ちょこんと小さくなってる彼女 。
「 ただいま 、 」
そんな彼女を見て 、
傍にしゃがみ込み優しく頭を撫でた 。
『 おかえり涼介 』
「 うん 、 どうしたの ご機嫌斜め ? 」
『 ··· 涼介 、 さっきまでは何曜日 ? 』
「 んと ·· 金曜日 ? 」
『 正解 、 金曜日 』
「 おお 、 やった 。 んで 、 ? 」
『 涼介のドラマ観てたの 、 』
「 ああ ·· セミオトコ ? 」
『 うん ·· 』
「 んん 、 どうした 、 」
彼女の頬を優しくスリスリっと撫でて優しく問う
『 ぎゅうってしよ ? 、 ぎゅうって ·· 』
「 いいよ ? おいで 」
『 ん っ ·· 』
いつもより甘えた声でふわふわとしてる彼女 、
近くのテーブルには透明なコップの中に
少しの白い泡が残っているから ··
きっとお酒が入ってるんだろうけど 、
「 よしよし ·· っ 」
『 生きてていいんだよ 、 って言って ·· 』
「 ん ? 、 ドラマの台詞 ? 」
『 私もそれ言われたい ·· 、 』
「 んじゃあ 、 言えばいい ? 」
『 ん ·· 、 言って 』
「 ·· 生きてていいんだよ 。 」
『 もっと ·· 』
「 俺の為に生きて ·· ? 」
『 ん ··· っ 』
包み込む様に抱き締めれば
さっきよりもぎゅうっと抱き締める力が強くなる
愛おしく思える彼女が好きでたまらない 、
「 ヤキモチ妬いちゃったの ? 」
『 ん ·· ちょっとしちゃった 、 』
「 んん 、 かあいいね 」
『 涼介デレデレしてた ·· っ 』
「 でもドラマだよ ? 、 それでもやなの ? 」
『 ·· やぁ 、 なの 』
「 そっかぁ 、 ごめんね 、 ? 」
『 うん ·· いいの っ 、 』
「 ん ·· 、 ありがと 」
『 涼介 ··· 好き っ 』
「 俺も好きだよ 、 不安にさせてごめん ·· 」
『 セミオトコ ·· もう観ない 、 』
「 っえ 、 観てよ 一緒に観よ ? 」
『 ヤキモチするの 、 やだもん ·· 』
「 いいじゃん 、 一緒に観れば大丈夫だよ 」
『 大丈夫かな ? 、 』
「 ん ·· 大丈夫 、 」
『 手繋いで観ようね 、 』
「 そうだね 、 そうしよっか 」
頭をぽんぽんっと優しく撫でると
ふふっと微笑む彼女がやっぱり可愛くて
「 やっと笑ってくれた 、 」
そう言うと照れた様に笑うから 、
そっとその小さな可愛い唇に口付けた 。
_ END .
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。