第96話

気づき
1,223
2026/06/03 14:15 更新
すごいー!!!
まさかのスタンプこの短時間で21いただきました🥹🥹

皆さんのお気持ちしっかり受けとりました!
感動しております参加してくれた方、
本当にありがとうございました💙

ではでは、続きをどうぞ!


*******続き*******
白石恵
白石恵
「あの〜小児科の白石です。何かこちらにご用ですか?」
ナースはほっとしたように顔を上げる。
看護師
「あ、救命の〇〇です。すみません」
看護師
「藍沢先生を探していて……どこの部屋にいらっしゃるか、ご存知ですか?」
白石恵
白石恵
「……藍沢先生?」
白石が小さくつぶやく。
看護師
「ちょっと確認したいことがあるんですが、電話がつながらなくて……」
看護師
「小児に行くって聞いてたんですがーー」
少し考えるようにしてから
白石恵
白石恵
「ああ、そうですそうです。でも藍沢先生なら、少し前に戻ったからもうここにはいないですよ」
そう答えた。

するとーー
看護師
「え?そうなんですか?」
ナースが、思った以上に驚いた顔をする。
白石恵
白石恵
「はい……って、え?ん??」
白石はその反応に、一瞬戸惑った。
白石恵
白石恵
「そんなに驚くことですか?」
看護師
「はい、だってーー」
ナースは少し身を乗り出して言う。
看護師
「藍沢先生、今夜はどうしても外せない用が小児であるからって」
看護師
「珍しくフェローに頭まで下げて、シフト代わってもらってたんですよ?」
白石恵
白石恵
「え……」
白石の動きが止まる。

ナースは続けた。
看護師
「ほんとだったら明日休みなのに、それも俺が変わるからって言ってて……」
看護師
「だから、ただごとじゃないんだなって思ってたんですけど」
看護師
「今もう戻ったって聞いて……」
言葉が、すっと耳に入ってくる。

けれど、すぐには理解が追いつかなかった。
白石恵
白石恵
「……」
白石は、少しの間そのまま立ち尽くした。

頭の中で、昨日のLINEのやり取りが
ゆっくりと巻き戻される。

『明日なら時間が空くかもしれない。緋山に伝えとけ』

あの、何でもないような言い方。
白石恵
白石恵
(……あれ)
一つ、引っかかる。
白石恵
白石恵
(“空くかも”って……)
白石恵
白石恵
「…あ」
白石の中で、
何かが、かちりと音を立ててはまった。

さっきのナースの言葉。

“頭を下げてシフトを代わってもらった”
“明日休みなのに、それも変わるからって”

――そこまでして。
白石恵
白石恵
(……そういうこと)
点と点が、ゆっくりと線になっていく。

“たまたま空く”んじゃない。
“無理やり空けた”んだ。

なのに、それを一切見せずに。
あくまで、“ついで”みたいに。
白石恵
白石恵
「……ふっ」
思わず、笑ってしまう。
白石恵
白石恵
(ほんと、あの人は……)
さっき、
呼んでもいないのに突然来たこと。
電話に出ろ、と言ったこと。

藍沢の行動が全部、繋がる。
白石恵
白石恵
(緋山先生のこと心配して、来てくれたんだ)
限界なのも分かっていて。

でも、
本人が頼る性格じゃないことも分かっていて。

だからこそ、ああいう形で。
白石恵
白石恵
(……不器用すぎるでしょ)
けれど同時に。
白石恵
白石恵
(……優しすぎるよ)
白石は小さく肩をすくめて、
もう一度、ふっと笑った。

ぶっきらぼうな言い方。
素っ気ない態度。

それでいて、
一番必要なところには、ちゃんと手が届いている。
白石恵
白石恵
(ほんと、藍沢先生らしいな……)
そのとき。
看護師
「せんせ?」
ナースの声で、ふっと現実に引き戻される。

白石ははっと意識を戻した。
白石恵
白石恵
「あ…ごめんなさい」
少しだけ照れたように笑う。
看護師
「どうか…されました?」
白石恵
白石恵
「いえいえ。私、その…実は、藍沢先生と同期で」
白石恵
白石恵
「ちょっと今の話で、色々考えちゃって(笑)」
看護師
「あ、そうだったんですね!」
ナースも納得したように頷く。
看護師
「じゃあ、白石先生のことか。藍沢先生、“同期がどうこう”って言ってたんで」
白石恵
白石恵
「ああ、ううん」
白石はくすっと笑う。

白石恵
白石恵
「それはね、また別の同期の先生の話だと思いますよ」
看護師
「そうなんですね」
ナースも微笑んだ。
看護師
「じゃあ……藍沢先生は、こちらで探してみます」
白石恵
白石恵
「はい。お力になれずですみません」
看護師
「いえいえ、そんな。ありがとうございました。では」
ナースが歩き出す。

その背中に、
白石恵
白石恵
「あ、〇〇さん!」
ナースが振り返る。

白石は、少しだけ表情を緩めて言った。
白石恵
白石恵
「藍沢先生に、“ありがとう”って伝えてください」
白石恵
白石恵
「白石からって言えば、分かると思うので」
ナースはぱっと表情を明るくして、頷いた。
看護師
「分かりました」
そのまま去っていく。
白石恵
白石恵
「……ほんと、もう」
誰にともなく呟き、
今度こそコーヒーを淹れに給湯スペースへ向かった。
📍夜

あなたも、緋山も。

それぞれの場所で、深く眠っていた。

あれだけ張り詰めていた時間が嘘みたいに、
病棟は静かだった。

ナースコールも鳴らない。
慌ただしい足音もない。

ただ、
機械の規則的な音と、
静かな寝息だけが、夜を満たしていた。

――久しぶりの、何も起きない夜だった。

そのまま、
時間はゆっくりと朝へ流れていく。
📍朝・ナースステーション

白石がPCに向かい、作業をしていると。
三井環奈
三井環奈
「おはよう」
後ろから、落ち着いた声。

振り返ると、三井が立っていた。
白石恵
白石恵
「おはようございます」
白石は軽く会釈して返す。

三井はそのまま、
あなたの病室の方へ視線を向けながら聞いた。
三井環奈
三井環奈
「どう?」
白石はすぐに頷く。
白石恵
白石恵
「はい。今もぐっすり。ゆっくり休めてそうです」
白石恵
白石恵
「夜も何度か様子見に行きましたけど、聴診も数値も安定していて、順調です」
三井はそれを聞いて、
三井環奈
三井環奈
「そう」
と、やわらかく頷いた。
三井環奈
三井環奈
「良かった」
短い言葉だけど、
確かな安堵が滲んでいた。

そして、続ける。
三井環奈
三井環奈
「緋山は?あの子はどう?」
白石は笑う。
白石恵
白石恵
「びくともせずって感じでした(笑)」
白石恵
白石恵
「昨日、夜中にちょっとドアの隙間から覗いただけですけど」
三井はそれを聞いて、
満足そうに小さく笑い、頷いた。
三井環奈
三井環奈
「そう」
一拍。
三井環奈
三井環奈
「あの子も限界だったからね」
白石恵
白石恵
「…はい」
そして、ふと時計を見る。
三井環奈
三井環奈
「あ、いけない」
白石恵
白石恵
(?)
三井環奈
三井環奈
「もう時間だ」
「じゃあ私、カンファ行ってくるね」
三井環奈
三井環奈
「白石も早く上がんな」
白石恵
白石恵
「はい。ちょっと緋山先生のとこだけ寄って、帰ります」
三井環奈
三井環奈
「うん」
三井はそのまま去っていった。
白石もPCを閉じ、立ち上がる。

そしてそのまま、緋山の病室へ向かった。
📍緋山の病室

コンコン、と軽くノック。
🚪

しかし。
返事はない。
白石恵
白石恵
「……」
静かにドアを開ける。

――しん、とした空気。
白石は一瞬立ち止まった。
白石恵
白石恵
(まだ寝てる……起こしたら悪いかな)
白石恵
白石恵
(いや……でも)
このまま声もかけずに帰るのも、なんだか気が引ける。

時計を見る。

もうすぐ9時。
白石恵
白石恵
(……ま、いっか)
小さく息をついて、
白石恵
白石恵
「入るよ〜」
と、声を落として言った。
様子を伺うように、
ゆっくりとベッドへ近づく。

ベッドの上。

緋山は背を向けたまま、
毛布を体に巻き付けるようにして眠っている。
緋山美帆子
緋山美帆子
「……」
白石はそっとかがみ込み、小さく声をかけた。
白石恵
白石恵
「……緋山先生」
すると。
緋山美帆子
緋山美帆子
「……ん……」
かすかな反応。
もぞ、と体が動く。

ゆっくりと向きを変え、うっすらと目が開いた。
緋山美帆子
緋山美帆子
「……白石……」
白石を認識した緋山は、
まだ完全に目が開ききらないまま、そう言った。

白石はやわらかく微笑む。
白石恵
白石恵
「おはよう、緋山先生」
白石恵
白石恵
「ごめんね、寝てたのに」
緋山美帆子
緋山美帆子
「……ううん、大丈夫」
緋山はそう言って、
ふぁ、と小さくあくびをしながら背伸びをする。
緋山美帆子
緋山美帆子
「……もう朝?」
緋山美帆子
緋山美帆子
「今何時?」
白石恵
白石恵
「8:55」
緋山美帆子
緋山美帆子
「はぁ……もうそんな時間か……」
ぼんやりとした声。

それからふと白石を見て言う。
緋山美帆子
緋山美帆子
「……って、どうした?」
白石は軽く首を振る。
白石恵
白石恵
「全然。どうもしてないよ」
白石恵
白石恵
「私、帰るから。その前に緋山先生の様子見てこうと思って」
緋山美帆子
緋山美帆子
「あ……そ。別にいいのに」
淡々とした返事。

白石は少し笑う。
白石恵
白石恵
「ひどいなぁ〜…」
緋山美帆子
緋山美帆子
「……ふっ」
白石恵
白石恵
「具合は、どう?」
緋山美帆子
緋山美帆子
「うん、大丈夫」
そう言いながら、
緋山は体を起こそうとする。
白石恵
白石恵
「ちょっと」
白石がすぐに肩を押さえる。
白石恵
白石恵
「まだ寝てなって」
緋山美帆子
緋山美帆子
「えー、でももう……」

言いかける緋山を無視して、
白石恵
白石恵
「はい、とりあえず熱測って」
体温計を差し出す。
緋山美帆子
緋山美帆子
「……はぁ……」
緋山はため息をつきながらも、
素直に受け取り、脇に挟んだ。

しばらくして。

ピピッ。
🌡️
白石恵
白石恵
「何度?」
白石が聞く。

しかし。
緋山美帆子
緋山美帆子
「……」
沈黙。
白石恵
白石恵
「……緋山先生?」
緋山美帆子
緋山美帆子
「……」
白石恵
白石恵
「ひやまーー」
緋山美帆子
緋山美帆子
「……37.4」
ぼそっと答える。

白石は小さく笑った。
白石恵
白石恵
「まだ普通に熱あるじゃん」
緋山美帆子
緋山美帆子
「あるけど別に、これくらい。あるうちに入んないわよ」
緋山美帆子
緋山美帆子
「しかもほら、解熱剤の点滴終わってるし。だからーーその関係でしょ?」
白石恵
白石恵
「そうだけど」
白石は少しだけ真面目な顔になる。
白石恵
白石恵
「でも、結局、薬が切れて熱が上がるってことは、まだ休んでろって意味だからね?」
緋山美帆子
緋山美帆子
「はいはい、分かってるわよ」
緋山美帆子
緋山美帆子
「……あんたの言う通り、もう少し寝てますよ」
少し投げやりに返して、体温計を返す。
白石恵
白石恵
「うん。そうして」
白石は頷いた。
白石恵
白石恵
「あなたちゃんも、咳止め入れて昨日から今もずっと寝てるから大丈夫」
白石恵
白石恵
「安心して休んで」
その言葉に、
緋山美帆子
緋山美帆子
「……うん……」
緋山は噛みしめるように答えた。

そして、
ゆっくりと髪をかきあげる。
白石恵
白石恵
「……ふふっ」
白石はその様子を、
やわらかい表情で見つめた。




ーーしかし。次の瞬間。
白石恵
白石恵
(……あれ?)

*****続く*****
作者より

前話からの流れで、藍沢先生の登場、
期待してた方すみません!笑

また多分出てくるのでお楽しみに〜💙

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