阿鼻叫喚 カタストロフ
「ぱぴ、るす......?」
Pa「見ろッSans!あなたが俺様の名前を呼んだぞ!!」
その言葉はこの状況の体言であった。
「えへへ~~~」
何 故 お 前 が 幼 児 退 行 し て い る
時は遡り早朝。
オイラは何時も通りあなたの隣で寝ている筈だった。
(尚、何故女子の隣で寝ているのかというツッコミは不在な模様。)
「~~!~~?」
腹部の圧迫感、それと“聞こえる筈の無い子供の声”
その情報で一気に脳が覚醒した。
『は.........?』
オイラの上に跨がっていたのは5,6歳程のちびっこ-
否これはどう考えても小さいあなただった。
「おきた?」
イマイチ状況が呑み込めていないオイラに追い討ちを掛けるかの如く問い詰めが行われる。
渋りに渋って「おう...」と返せば小さいあなたは「やったー!!」と腹の上で跳び跳ねた。
『ヴッ......!!』
幸いあなたが軽くなっていた為骨折には至らなかったが、HP1舐めんなよ......?
『あなた、悪いが降りてくれないか?』
荒れた息を整えて、あなたに俺の上から退くよう促す。
だが矢張子供は子供。すんなりと言う事を聞いてくれる筈も無く、チビあなたは体を上下に揺らして遊んでいるのだった。
不味い。色んな意味で不味い。
体が小さくなったが故に寝巻きがはだけ露出する肩
勿論下何かチビあなたは履いていない否履けないのだ。
オイラのオイラの為にもお願いだからそれ以上動かないでくれ。
何て必死の懇願も虚しく、あなたは気にしてませんとばかりに上下運動。
『ヴ、
そんな悪戯するヤツには___
力を振り絞り人差し指をあなたの方へ向ける
刹那 ピン、と軽率な音が鳴り、あなたの体を宙へ浮かばせる
何とか最悪の状況の回避に成功したのだった。
却説、問題は此処から
「ふわふわ~!みてみてー!あなたおそらとんでるー!!」
案の定オイラの魔法で宙に浮いたあなたはキャッキャとはしゃいでいる。
そういえばの話になるが、オイラはあなたに魔法をあまり見せていなかった。
5歳のあなたもあなただが、普段のあなたもオイラからしたら充分な子供。
少しマセてはいるが。
まあそんなんだから驚かれても困るという理由で無闇矢鱈に見せようとはしなかった。それに-............
【お前 サイアクな目に遇わされたいか?】
「わたしのなまえはあなた。
あなたの、おなまえは?」
俺の雑念を断つのはあなたの凜としたソプラノ。
聞こえる筈の無いと言ったが、その面影は健在。
年不相応なそのアルトは鼓膜を柔らかに刺激した。
少しだけ、ほんの少しだけ高くなったあなたの声は鼓膜にすんなりと馴染んで往く。
コイツは違う。善良なニンゲンの皮を被ったヤツとは違う。
無知で無垢で穢れを知らない罪な子供-。
“あの時”だって、何の躊躇いも無く俺を救った。
否、もう辞めにしよう。実際、あなたが落ちて来てからは何も起きていないのだから。
「あ.........、」
突然うんともすんとも言わなくなった俺を怪訝そうに伺う曇り無きその眼。疑問符が優しく睫に乗っている。
そんなあなたを笑い飛ばし、すっと彼女に手を差し出す。
『オイラはSans.見ての通りスケルトンさ。
何時の日か 交わせなかった握手を
『よろしくな、あなた。
今一度、交わそうではないか。
今日は父の日なので
因みに題名はシューベルト作曲「魔王」より。
ゲーテさん凄いですよね~......
最期の言葉が「もっと光を」だなんて......
詩人としての憧れですよね












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。