目を覚ますともう明るくなっていた
いつの間に寝てしまったのだろうか
…急がないと
これから人狼を倒すまでは朝の生存確認、昼の場面整理、それから夜の処刑が行われることとなる
昨日の夜はまだ人狼は活動できないため、初めての生存確認に犠牲者はいないが能力を与えられてはじめての対面だから…おのずと緊張してしまう
俯き加減で外に出ると明るい声が聞こえた
彼女は昔からの親友のドクダミだ
長めの髪と綺麗なオレンジの瞳が特徴で
村の人想いの優しい子
広場に集まるともう人は集まっていて
みんな緊張した面持ちだった
生贄が…この中に…
能力︰村長
最後の一人になるまで人狼は襲うことが出来ない為
主に進行を務める。村長を騙る事は出来ない
白陣営において村長は、唯一信頼していい人間だ
ビオラは騙されやすいとこもあるが、責任感があって、村長という能力にぴったりだと思う
そう、ビオラが告げると皆はそれぞれ散っていった
勿論、能力を探るのも大切だ
…けど、今はそんな気分になれない
仕方なく食料調達に行くこととする
こんな場面でもお腹は空くし喉は乾く
食べれる実がなっている森へと向かおうとすると後ろから気配がした
ドクダミはまだ移動してなかったみたいで
私の横に来てそう聞いた
彼女は可愛い笑みでねだるように言う
昔からドクダミのおねだりには叶わないな
まぁ駄目と言う予定は無いのだけれど
そういって私たちは実のなる森へと向かった
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私が実を取って入れていたカゴからこっそり
取って食べていたみたいだ
思わず美味しいって言っちゃったら意味無いのに…
ドクダミは甘〜いとか呑気にいいながら頬張る
私がジーっとそれを見ているとハッとした顔で手を隠した
もう遅いよ…
そう言いながらもう片方の手に持った実を籠に戻す
そんな睨んだ顔になってたかな…
そう思い表情筋を動かしていると
ドクダミが真面目な顔で急に言った
背筋が凍る。こんな話出来ればしたくない
特に、今まで大親友としてやってきたドクダミとは
疑いたくないし疑われたくない
咄嗟に嘘をつく
大親友だけど、もし相手が敵陣営なら
正直に言えば殺されるかもしれない
能力︰市民
特に能力はない為、
人狼を皆で協力して推理し追放する
そう言いながらさっきまでとは打って変わって真面目に実を集め始めた
ドクダミの村の人想いの言動は本当に凄いと思う
そんな彼女の言葉は信じざるを得なかった
きっと彼女は本当に市民なんだろう
直感だけれど、
暫く採っていると視界の端に人影が見えた
ちょっと低めのあたたかみある声が聞こえる
ヒイラギだ。ヒイラギとは小さい頃からよく遊んでいて、ドクダミとはまた違った友達
ヒイラギの方を向くと後ろに2人ほど連れていた
そのうちの片方がそう私たちの名前を呼び
手を大振りに振った
彼はジニア。村一番のお調子者で全員と仲がいい。
けれど、特によく一緒にいるのを見るのはヒイラギ。それからもう一方のクロユリくん…かな?
クロユリくんは軽く微笑みかけてから
口を開いて「こんにちは」と挨拶してくれた
彼はミステリアスな雰囲気を纏っていて感情が読めない。気配りとか上手なのでモテてたりするらしい
ドクダミがクロユリくんの質問に迅速に答える
目を輝かせ、自慢げにそう言った
クロユリくんはへぇ。と言いながら堂々と1個つまみ食いする
つまみ食いしたクロユリくんをヒイラギがはたいて
邪魔して悪かった。と言いながら
3人はその場を去っていった
そう言ってドクダミが1つ実を差し出す
…食べていいよってことね
私はドクダミに貰った実を口にほおり投げる
この実は実の中では中くらいの大きさで
果汁も甘さもたっぷりの大好きな実だ
鐘の音が響く
この村は朝、昼、夕に鐘の音が響く
鐘の音が聞こえないほど遠くに行くのは禁止
というか人狼を倒すまでは出られないのだ
勿論人狼は市民を全員倒すまで
朝に生存確認
昼に場面整理
夜に処刑
が行われるため
鐘の音が鳴ったら広場に集まらなければならない
私たちはいよいよはじまる
敵陣営との戦いに息を飲んだ












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!