前回、私は大きな声で滝夜叉丸に言ってしまった。
滝夜叉丸が、自分のなんて心配するなって言うから。
つい、反論してしまった。
自分でもすごく恥ずかしいことを言ってしまったとわかってる。でもこれは本心だ。隠すことなんてできない。
滝夜叉丸は目をぱちぱちさせた。
それと同時にだんだん顔が赤くなっていくから、私まで思わず目を逸らしてしまった。
滝夜叉丸は慌てた様子で話を遮った。
見ると、右手で顔を押さえながら真っ赤になっていた。
辺りは少し夕焼けになりかけてて、影のコントラストも徐々に濃くなっているからか、彼が今どんな顔をしてるのかはあまりわからないけど。
少しの沈黙が、こんなにも長く感じたことはなかった。
滝夜叉丸は、何かを言おうとして口を結んだ。私は待った。
滝夜叉丸は、本当に特別な存在だと思う。
彼と出会ってから、本当に毎日が楽しくて、なんとなく浮き立っていて、その感情は他の何にも置き換えることのできないものだった。
辺りは静まり返っていて、声だけが反響しているような感覚になった。
滝夜叉丸は、顔を隠すのをやめた。
彼は真剣な面持ちで、そう言った。
恋なんて、初めは何なのかわからなかった。
山ぶ鬼ちゃんの「キュンキュンする」という感情は、形容するには難しいし、納得するのにも時間がかかると思う。
でも、今この感情は、紛れもないものだ。
きっとこれが恋なのだろう。
誰かをまっすぐに想う姿は、どこまでも美しい。
私と滝夜叉丸が付き合ったことは、誰にも言っていない。
忍術学園とドクタケが敵対していることは周知の事実だ。そして、大人になって別々の城に仕えることになればさらに難しくなるだろう。
これは、二人の秘密。
のはず。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。