第14話

感じるもの
10
2026/06/01 17:06 更新
鳴子 章吉
雪ぎょーさん降るみたいやし、そろそろ帰るわ!ほなまた明日な!
あなた
家帰ってからもちょっとはやりよ!
鳴子は明後日の方向を見て頬をぽりぽり掻きながら、せやなー。と言っている。これ絶対せんやつじゃん。

ハァとため息をつきながら、気をつけてねと言って見送った。
あなたの下の名前の家を出た鳴子は自転車に跨って大きくため息を吐いた。
ワイ...よく耐えた。

そう心の中で叫びながら寒空の下ロードバイクを押しながら帰宅したのだった。
あなた
鳴子ー!鳴子ってば!
数日後、テストの結果が発表された。
鳴子 章吉
うおっあなたか...聞きたいことはわかっとるで...
あなた
え、なに、その感じ...
鳴子は神妙な顔でこちらを見ている。
まさか、悪かったのではあるまいな。

あなたも鳴子を見返し、ジッと言葉を待つ。
鳴子 章吉
全部...60点超や!最高やで!
あなた
えっ!!!
微妙だぁ!!!と心の中で叫ぶ。
鳴子 章吉
なんや、その顔。ワイにしては上出来なんやからもっと喜んでくれてもええんちゃう!?
あなた
あはは、ごめん!よく頑張ったぞ!これで部活に専念できるじゃん!
鳴子の隣にいた小野田くんもうんうんと頷いている。
鳴子 章吉
せやな。あともうちょいで3年生も卒業してまうし、ほんまに頑張らんとあかん。
あなた
うん、頑張って。
あなたは少し寂しそうにでも笑顔でそう言った。

小野田はその表情に違和感を覚えた。
あれ、あなたの名字さんなんか、悲しそう?ううん、何か違うなぁ。でも鳴子くんはあんまり気にしてなさそうだし、気のせいかも。

鳴子が部活に向かうと言うので、小野田もあなたにお辞儀をして一緒に向かった。

鳴子 章吉
小野田くん、なんか顔暗いで。
1年生3人で練習中、元気がなさそうな小野田を見越して、鳴子が話しかけた。
小野田 坂道
あっご、ごめん!練習に集中しろってことだよね!うん、うん...
鳴子 章吉
や、ええねん!今日は、テスト明け1発目やし緩く行こや。ほんで、なんかあったんか?
小野田 坂道
ぼくの勘違いかもしれないんだけど...今日鳴子くんを見送ったあなたの名字さんが少し悲しそうに見えたんだ。
あー、そうゆうことか。
小野田くん意外と鋭いとこついてくるな。
小野田 坂道
ぼくたちにとって、3年生が卒業することはとても寂しいことだけど、あなたの名字さんはもっと...遠いところを見てたような...はっご、ごめん!たぶん勘違いだと思う!
鳴子 章吉
や、たぶん小野田くんの感じた事は間違ってないと思うで。その分、ワイらが頑張らなあかんゆうことや。
今泉 俊輔
なんだがよくわからんが、頑張らないといけないことは確かだ。
鳴子 章吉
せやで。あなたが見れんかった景色をワイらが見せたる。
小野田 坂道
見れなかった景色?
鳴子はざっくりと落車事故で怪我をして、大好きなロードバイクに満足に乗れなくなった事を話した。
今泉 俊輔
それは...あれだな。
小野田 坂道
2年前にロードバイク辞めたって前言ってたのは、やめたんじゃなくて出来なくなったからなんだね。じゃあその分ぼく達が頑張らないといけないね。
鳴子 章吉
そーゆうことや。小野田くん。でも、あかんで。あなたにはワイが1番で優勝するとこ見せたるんや。
今泉 俊輔
協調性がなさすぎるな。
鳴子 章吉
お前にだけは言われたないわ!!
ぎゃーぎゃー言いながら走っていたが、前を走っていた手嶋に追いつき、おい!1年真面目に走れよ!と怒られながら練習が終了したのだった。

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