第6話

激闘の朝 LI&children
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2022/08/07 10:35 更新
力也side
可愛い雀のさえずり。
程よく顔を出す太陽。
いっやぁー最高の朝だな。
職員室から見える、
小さな遊具たちが散らばる運動場には
まだ賑わう声は聞こえてこない。
なんてったってまだ朝の7時30分。
そろそろ登園早めの生徒が来る頃だが…
海青
おっはよぉーございまぁーす!
よしきた!
ライオンのような大きな声で、
今日も小さな巨人が満面の笑みで俺を呼んだ。
いやぁなんというか、癒しだな。
力也
はい、おはようございます!
今日も元気だねえ!
海青
げんきモリモリ!
だってあさごはん3ばいもおかわりしてんねんで!
力也
それはお腹ポンポンだ!
海青
ちがうよ!
きんにくになんねん!
力也
ははっ、そうだったね!
彰吾
じゃあ海青をお願いします!
力也
承知しました!
お父さんもお仕事、頑張ってください!
彰吾
ありがとうございます!
…なら行くわ。
元気に過ごせよー。
海青
うん!
おとうさん、いってらっしゃぁーい!
彰吾
はいよー
自然体な様子の山本さんは、実は結構頭がきれる。
行事事では毎度お世話になっている始末だ。
それでいて俺よりも年下って聞いて、もっと驚いた。
しっかりしてんなぁ。なんて浸っていると、
なにやらガヤガヤと、
それはもう楽しげな声が聞こえてきた。
翔平
たーららららっらっらぁー!
たーららっらっらぁー!
ラッラーララララララッラララララァー!
カーニバルか?
ここはブラジルなのか?
てか、歌詞ひとつも歌ってないからね。
ふたりとも上手!
翔平
でしょー!
りゅうとたっくさん、
れんしゅうしたんだからねっ!
がんばったの!
そうかそうか!
じゃあ、陸さんも一緒に歌おうかなぁー!
え、なんかそれは普通に気になる。
歌が尋常じゃないほど上手いと、
この保育園内で話題の陸さん。
それは是非とも拝聴させていただきたいところ!
わくわく。
わくわく。
わく…ん?
翔平
せんせぇ?
あ、やべ。
これはやべぇやつだ。
力也
お、おはようふたりとも!
おはよぅごじゃいます!
翔平
へっへっへー!
力也せんせいのはずかしいとこ、
みちゃったんだもんねぇー!
力也
ちょ、勘弁してよぉ!
翔平
みんなにいいふらしちゃおーっと!
「龍、行こ!」と、小さなふたりが手を繋いで
教室に走っていってしまった。
力也
こら!走らない!
俺の注意は、一応耳に聞きいれたのか、
今度は早歩きへと変化した。
まったく、あの暴れん坊少年ってやつは。
すいません!
朝から先生を困らせてしまって……
翔平が忘れていった水筒を俺に渡しながら、
陸さんはペコペコと頭を下げた。
力也
全然ですよ!
可愛げがあって、こちらも癒されてます!
もうあのふたりは家でもあんなちょ……ああぁ!
力也
どうかされましたか!?
時間がやばいです!
お仕事、いってきます!
ふたりをよろしくお願いします!!!
嵐の如く畳み掛け、
あっという間に行ってしまった陸さん。
なんか子は親の背中を見て育つっていうけど、
どうやらそれは本当らしい。
忙しくて愛おしい親子だなぁ。
常々思う、そんな朝。
壱馬
おはようございます!
そして陸さんが去った直後、
3人の手を引く川村さんが現れた。
でも何だか、昂秀の様子が変だ。
力也
昂秀?どうしたの?
俺が屈んで昂秀と目線を合わせると、
何やら不安げに川村さんを見上げた。
壱馬
ほら、自分の口から言い?
すると昂秀は俺の方に向き直り、
ゆっくりと口を開いた。
昂秀
おとうさんにしかられたの…。
壱馬
朝、
ふざけて全然準備しないもんですから、
つい叱ってしまって。
力也
大丈夫ですよ。
それも大切な教育です!
力也
ほら、昂秀。
龍が教室で待ってるよ。
俺の言葉に、先ほどのどんより顔が
一気にぱぁっと明るくなった。
そして気づいた時には、
既に昂秀は教室に入っていった。
俊敏すぎるでしょ。
反省してんだか、してないんだか。
壱馬
じゃあ、ふたりも……
力也
はい!
慎、樹、行こうか!
すると、フリフリと横に振られる首たち。
これは今日も涙のお別れコースは免れない。
壱馬
ほら、夕方迎えに来るから。
やだ。
壱馬
慎。
おとうしゃんといっしょがいいー!
壱馬
樹は?
……。
ぎゅっと川村さんの服を握っている樹。
溢れ出る「嫌だ」感。
段々慎の目には涙が溜まってきてるし、
樹は頑なに川村さんから離れようとしない。
……泣きたいのは俺の方だよ!
力也
ふたりとも?
行こうよ!
グスッ いやっだぁぁぁ!
あらら、遂に、遂にだよぉ。
困った。
これは今日も困った。
俺がいつものように、
永遠のふたりを切り裂く悪魔の如く、
慎と樹を川村さんから強引に引き離そうとすると。
昂秀
まことー!あーそーぼ!
救世主登場!
きっと反省してないだろう星人が助けに来てくれた←
たかひでぇ?
昂秀
きょうはおえかきしゅるんでしょ!
……ぅん!
よし。ひとまず慎は大丈夫そうだ。
残るは、未だコアラな樹。
あ、猫だ。
未だ、猫な樹←
翔平
……かわむらいつき。はよこい!(早よ来い)
あぁ!神様、仏様、翔平様!
なんで。
翔平
べつに
おまえをまってたわけじゃねぇけど、
おまえがいなきゃたのしくねぇっていうか。
うん。
翔平
つまらんっていうか……んんもう!
いいからはやくいくぞ!
うん。
俺は今日、奇跡的に悪魔への道を免れた。
ふぅ!一汗かいたぜぇ!
壱馬
いつもありがとうございます!
力也
いえいえ!
じゃあ、行ってらっしゃい!
壱馬
いってきます!
なんとか
なんとか!
無事に今日も激闘の歓迎を終えることが出来た。
毎度毎度、沢山笑うし、沢山苦労する。
だけど何だかそれが楽しくて、
とてもやりがいを感じられる経験のひとつでもある。
なんてまとめちゃってるけど、
大変なのはここから。
まだ第一関門を突破したくらい……
よしっ!気合いいれるか!
海青
ねぇ力也先生?
力也
ん?
海青
せんせい、
りくさんのうたごえがききたくて、
しょうへいたちそっちのけでうっとりしてたん?
ちくしょう。
力也
しょーうへーい!!!!
さぁ、2回戦の開幕だ。
next story……

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