五条が息を引き取ったのを確認して、生徒たちはそれぞれ
様々な思いを抱いていた。
当時1年だった虎杖、伏黒、釘崎。
2年だった禅院、狗巻、パンダ。
この6人が、五条の看取りを行った。
桜の木の下、もたれかかって目を閉じる五条。
眠っているだけだろうと錯覚しそうなほど、安らかである。
息を引き取るまで、話をしていた。
時が来た時、五条は何かに気づいて上空に目をやった。
「………、」
少しだけ、五条の顔が歪んだように見えた。
その直後、一筋の涙が頬を伝った。
「………っ、ぁ」
あなた、と小さな声で、会いたくて仕方なかった彼女へと
真っ直ぐに手を伸ばした。
どうやらそれは、6人とも見えていたそうで。
あのころと変わらぬ姿のあなたが、上空から降りてきた。
「五条、お前随分としわしわになったね」
なんて当時のままの口調で言う。
あなたの左手と五条の右手は繋がれていて、
あなたが右手で五条の涙を拭っている。
こちらに振り返って、あなたは皆を見渡す。
「随分と立派になったね」
と微笑んで、「五条が世話になったね」「ありがとう」と
一礼する。久々に見たあなたに、全員が涙しているが、
お構い無しに五条は号泣している。
「お別れしなくていいの」とあなたは五条に聞くが、
「お別れなんてしないよ、また会うから」と微笑む。
じゃあね、またねと、手を振って、
五条は笑顔のまま、息を引き取っていた。
クスクスと笑う彼女は、元気な時そのものだ。
懐かしさと同時に、これからは一緒なのだという嬉しさが
ふつふつと込み上げてくる。
………あぁ、また泣きそう
せっかく整った顔が台無しだよ、と涙を拭う彼女。
安心しなよ、
私はずっと傍にいる
君がずっと笑っていられるように
私は隣で、君と一緒に歩いていくから
ちゃぷん。
某駅前。
噴水の前に、白髪のサングラスをつけた高身長と
空色のピアスをつけた美しい桜色の髪の2人が
何やら話をしているようだった。
はぁ、と2人してため息をつく。
五条が死んでから、約100年ほど経った。
私たちは、呪いのなくなった現代へと転生したらしい。
探すの大変そうだなと思ったのもつかの間、
近所にあった豪邸に住んでいたのは
紛れもないクソガキの五条だった。
齢3歳にして、近所の豪邸に住む同い年の恋人と遭遇。
2人して記憶あって、もはや笑ってしまった。
そして今、私たちは28歳。
今もずっと恋人である。…否、夫婦である。
よく庶民の私を嫁がせたもんだ。
話はそれたが、私たちが探しているのは。
あの、約束を交わした桜の木。
絶対違うだろ、と思っていた時。
見覚えのあるものを見つけた。
噴水から少し離れた場所。丁度、木陰のベンチ。
木陰となっていた木は、まさにその桜の木だった。
2人して、また笑う。
ひとしきり笑って落ち着いた時。
ふは、と笑う五条。
もう私は、「朝桜」ではない。
「五条 あなた」である。
時が来るまでは
僕らはずっと一緒だ
これにて、お話は完結です。
色々至らないところあったと思います。
今世では幸せに。
それでは。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。