____ガチャン
夕食をとった後、皆さんと別れ
医務室に戻った。
心なしか、少し軽い体を
グッと椅子に沈み込ませてリラックスする。
体は動かさず、椅子の首だけ動かして
どうにか横の棚から、
チューブ状のゼリーを取り出す。
小さな頃からずっと食べてきた食事。
朝、昼、晩、ずっとこれだけを食べてきた。
ジュッという音を立ててゼリーを飲む。
味なんてものは感じず、ただ
ゼリーの絶妙なグチャリとした食感が
口の中いっぱいに広がる。
最後の一口を流し込んで
プラスチックの柔らかいチューブを
医務室のゴミ箱に投げ入れる。
カコン、と放物線を描いて
綺麗にゴミ箱まで落ちるチューブを横目に
私は今日の診断書を取り出して
叢雲さんの様子を書き連ねる。
大ごとな怪我であれば
もっと沢山の書類をかかなければならないのだが
今回は擦り傷だけですんだから
書類1枚で事足りる。
コトン、とペンを机に置き
グッと背伸びをする。
少量と言えど、文を書くのは苦手だ。
資料を封筒に入れて
椅子から立ち上がる。
今日はもう寝よう。
少し冷えた医務室のベッドに
体を沈めて目を閉じた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。