やめて………
やめて……
何軒も何軒も親戚の家を転々とした
衣食住全てが無かった
そのせいで学校でも
すぐにいじめが起きた。
死にたい……
死にたい……
でも
死ぬのが怖い
だから私は今日も家出をした。
公園で頭痛薬を何十粒も飲もうとした
手にめいいっぱいの薬を広げ、
マスクを下ろし、
口を開ける
目の前に現れたのは、
まだお母さんもお父さんも弟も居た時代の近所にいた慎にぃちゃんだった
私はハッとして手から薬が零れないようにキツく拳を握った。
マスクを上げ、薬を鞄の中に隠しながら、鞄の中にそっと零した。
ごめんなさい慎にぃちゃん。
今凄く辛くて死にたい。
そんな事言ったらどんな顔されるだろうか
とりあえず走って逃げた。
今の慎にぃちゃんは昔とは違う。
アイドルとして人を笑顔にさせてる。
そんなキラキラした人に今の私を見せたくない。
「助けて」
その台詞は言葉に出なかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!