慎太郎side
あなたちゃんと手を繋いで歩く道。
あなたちゃん手、細くなってない?
ご飯ももらえなかったのかな……
ごめんね。
気づけなくって。
横浜でロケした帰り、君に会えるなんて思わなかった。
俺が幸せにするよ。
車の中では沈黙が続いた。
何話せばあなたちゃんが喜ぶんだろう。
そんなこと考えてるうちに
あっという間に自宅に着いていた。
あなたside
何も私に踏み込まずに慎にぃちゃんの家に着いていた。
その家はすごく綺麗で、私には勿体無い
こんな最悪な私が着いて来ちゃって
ほんとに良かったのかな
慎にぃちゃんは優しい。
こんな私にも居場所をくれるんだから。
〜
初めての扱いでちゃんと返事出来ないのは割愛。
時計を見たらもうとっくに12時を超えていた。
妹さんにもめちゃくちゃ申し訳ないけど、
なにせ今着ているのしか服を持ってない。
隙を与えさせないようにして、私が断らないようにしてる慎にぃちゃん。
気遣いができるいいにぃちゃんです。
〜
人とちゃんと喋ることが多分10年ぶりぐらい
お母さんがいた時だけだった。
小学校でも中学校でもちゃんとは喋んない。
だから会話能力が絶望的にない
ひとりで待っていた時間
テレビを付けたら慎にぃちゃんが出てた。
家ではテレビなんて
電気代の無駄だって言われてたから
慎にぃちゃんがテレビに出てて、びっくりした。
つくづく慎にぃちゃんとの距離が
遠くなった気がした。
でも慎にぃちゃんは
それでも私を引っ張ってくれるのかな
1人になったらODしよう
そう思っていた心はどこかに消えてしまっていた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。