第4話

03 : 他所
102
2026/03/30 13:30 更新
ああ、えっと、これは他所様の話でさ。
ほら、茜って言ったでしょ。私の親友の。
えーっと、茜に好きな人がいるのは知ってる?
でさ、
その好きな人が私の隣に居るってことは言った?
💀
 (言ってない!!言われてないよ!!!)
🌊
? どうかしたの
💀
いいえどうも!
今日はどうしてもいつもの運転手さんが来れないらしくて、重い足を動かして電車に乗ってきたというのに。
隣の席には綺麗に手入れされた髪をなびかせて私に話しかけてくる親友の幼なじみがいる。
水のように透き通った肌に吸い込まれるようなアクアマリン色の瞳。女性のような顔にしては大きく骨ばった手。
…今得られる情報はこんなものだろうか。
💀
うちの茜がお世話になっております。茜ったら貴方のこと大好きみたいで、よくお話を伺っておりますわ。
適当に茜アンタのこと大好きだよー的なこと交えてみる。するとみるみるうちに顔をゆでダコのように真っ赤にさせていった。
🌊
あ、そ、そうなの…?まあ別に嬉しかねえけど。
…彼も茜に似て少しツンデレ気質があるみたい。
耳まで真っ赤に染めた様子は、なんだか可愛らしく見えてきて、ふふと笑ってしまった。
💀
まあ、別にいいんじゃないですか。
少し可哀想になったので話題を変える。
するとその流れに乗ったのか
🌊
黒屋敷?さんは伊澄と仲が良かったよね!どういう関係なの?
と質問を投げかけた。
💀
関係….。大したものではないですわ。よく言うなら幼なじみ、普通に言うなら旧友って所よ。
執事、なんて言ってもいいけど、なんだかそういう気分じゃなくて。
彼のことを手に入れてから、色んな人に自慢したいっていう、我なりのこだわりで。
他の人と話しているはずなのに頭の中はずっと貴方のことでうんざりしてしまうわ。
🌊
ふーん、そうなんだ。じゃあ違うか…
そんなたわいない話をしていたら、いつのまにか学校の最寄りに着いていた。
ドアがサッと空いて、ホームから朝日が差し込む。
🌊
あ、最寄り着いたよ、降りようか。
そう言って彼がサッと席を立つ。
席を立った彼の身長は私よりもはるかに高くて、思わず目をぱちくりと瞬きしてしまう。
ふわり石鹸の香りがして、伊澄とは違う匂いだ。やっぱりみんな違うのかな、とか思う。
…また伊澄だ。
 鼻腔を通り過ぎる伊澄の匂いが愛おしく感じた。
💀
うん、そうだね。
この駅を降りてまっすぐと歩けば、星霜学院と星合学園の校門が見える。
波瑠と会話をしながら校門へ歩いていくと、見慣れた黒髪と緑髪を発見する。
…いや、その組み合わせはぜんっぜん見慣れてない。
💀
ってえ、茜?
茜は、伊澄と一緒にいた。
伊澄も「あ、お嬢様。おはようございます。今朝はいけなくてすみません。」と加えた。
☕️
いやいやいや、どういう組み合わせ??
💀
いや、こっちのセリフね。
このまま校門にいても星合学園の女子生徒に睨まれるだけなので、颯爽と別れを告げて二人で校門の中に走り込んだ。
星霜学院の入り口脇に植えられた桜の木は、いつの間にか綺麗に色付いていて、私たちが3年生になるのを暗示しているように見えた。
💀
ごめん。私から行くわ。
☕️
いや私から言わせて。
「本っっ当に誤解しないでほしい!!」
💀
ってことは
☕️
お互い
💀
偶然と。
とりあえず平和的解決をした。私たちの仲は取り持たれた。
💀
え、どういうシチュエーション?
それはそうだ。会うはずがない。
☕️
えっとー。
茜の言ったことを要約すると、
茜家出る

電車乗る

朝練に行こうとした伊澄と会う

話す

来た
ってことらしい。
別に、心配したとかそういうんじゃなくって。
安心したとかそういうのもない。
☕️
で、マジでビッグニュースがあるんだけど
神妙な面持ちでこちらを見つめる。
元からツリ目気味だった目をじとっとさせて言った。
☕️
伊澄くん、好きな人いるらしい。これ予想とかじゃなくて、本人から。

プリ小説オーディオドラマ