無茶だ。あんまりだ。意地悪だ。
冗談抜きで嫌がらせだと思う。いや、でも勝手に追いかけてるのは俺の方だったか。
俺は友達から借りた部活用チャリ。白石は黒塗りのリムジン。
わざわざスモーク入りの窓を開けて挑発してこないことから悪意は無いことが感じ取れるが、それでも自転車で車に追いつくというのは至難の業である。
それにこのリムジンが向かう先はどう考えても星香の家だ。
何が目的なのかは分からないが、万が一だ。星香が心配なのは俺も充分分かるが、だからと言って人が人だ。
悪いがあいつを星香の家に行かせることはちょっとよくない事態を招きそうな予感がした。
それでも、歩道橋や自転車しか通れないような抜け道を使うと案外追いつけるものだった。
星香の家に着くのも、向こうのほうが早かったが差は15秒ほどだった。
やっと停車したリムジンから、白石が下車して俺の方を向いた。
俺は疲れを見せないために、少し強めの口調で言った。
少し、白石の言い方が強くなった気がした。
白石は呆れたようにため息をついた。
爽人なら、きっとこう振る舞う。
白石は目を細めて言った。
少し頬を赤らめた彼女は、目を閉じて両手を自分の頬に当てて言った。
読者の皆はこれを全て読んだのだろうか。
俺はもう目眩がしてきた。もう俺の手には負えないレベルまで、こいつは進んでいたのだ。
でも確かに、こんな奴なら心配は無いのかもしれない。
それでも危険だ。...いや、危険では無いのかもしれない。今のえげつない量の情報から、こいつがどれだけ星香に夢中なのかは嫌というほど分かる。
逆にこういう奴しか、星香を扱えないのかもしれない。
それに、'ペットにする'とは言っても恐らく正面から星香を知りに来るだけだろう。ストーカーもする必要がなくなるから。
俺は頭を抱えたまま、星香の家に背を向けた。
それに、と白石が続ける。
白石にうながされて、俺と白石は星香の家のインターホンを押した。
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「過去一狂気に満ちた'レギュラーキャラクター'を生み出してしまったかもしれない」と、頭を抱えている葛作先生に、私はただ労いの言葉をかけることしかできなかった。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。