堀越高校・芸能コース。
普通の高校とは違い、生徒たちはそれぞれの夢を背負いながら、忙しい日々を送っている。
私もその一人だった。
モデル、女優として撮影をこなし
気づけば学校に来られる日は
週に数回あるかどうかだった
足りない授業数を放課後授業でカバーする
皆んなが楽しそうに下校する声が遠くできこえる
教室の扉をそっと開けると
夕方の光が差し込む中
ひとつの席だけに人影があった
彼は机に肘をつきながら
どこか気だるそうに笑った
最近はドラマ出演で一気に注目を浴びて
彼もまた忙しいはずだった。
短い会話
でも、その“そっか”には
妙はな優しさがあった
沈黙が流れる。
窓の外では、オレンジ色の空が
ゆっくりと夜に変わろうとしていた。
図星だった。
仕事では“理想の自分”でいなきゃいけない。
でも今は、ただの高校生でいられる。
樹は少しだけ驚いた顔をしてから、ふっと笑った
モデルも女優も、全部好きなはずなのに。
求められる自分を演じているうちに
本当の自分がぼやけていく
沈黙。
言い過ぎたかもしれないと、少し後悔した。
でも――
同じだと思った













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!