あなた Said
休日の朝、あなたの叶さんの呼び方は荷物を持って玄関に立っていた。
振り返って笑う彼その顔は、いつものように穏やかで、安心するのに、扉が閉まった瞬間、部屋の空気がひどく静かになった気がした。
今日は休日。
二人で過ごせると思っていた。
だからこそ、ぽっかりと空いた時間をどう埋めていいのかわからない。
口に出してみるものの、心は落ち着かない。
コーヒーを淹れて、テーブルに座る。
カップから立ち上る湯気を見つめていると、なぜだか余計に寂しさが広がっていく。
いつもの隣に大好きな彼が座って、何気ない話をしながら笑ってくれる光景が浮かんでしまうからだ。
気を紛らわせようとゲーム機をつける。けれど、コントローラーを握っていても楽しさは半分。
そんなことを呟いて、すぐに電源を落とした。部屋に残るのは静かな時計の音だけ。
午後になると、窓から射し込む日差しが床に長い影を落とす。
ソファに体を預け、ぼんやりとその影を目で追う。
時間が進むたびに影はゆっくり形を変え、気づけば夕方の色へと移り変わっていった。
胸の奥がじわじわとざわめく。
別に何が不安なわけでもないのに、彼がいないだけで、部屋の広さがいつもより増して感じられる。
小さく呟いて、自分でも驚く。こんなにも待ち遠しいなんて。
玄関のドアノブが回る音がしたのは、そんな時だった。
聞き慣れた声に心臓が跳ねる。ソファから立ち上がり、思わず玄関へ向かっていた。
ドアを閉める彼がこちらを見て、少し驚いたように目を丸くする。
冗談めかした声に、胸がぎゅっと熱くなる。
そう答えながらも、頬が熱いのをごまかせない。
彼は靴を脱ぎながら、にやりと笑う。
その声色に、どこか優しい温度が混じっていて、また胸の奥が騒ぐ。
部屋に戻ると、昼間の静けさはもうなかった。
二人で座るソファ、テーブルに置かれる買ってきたお菓子、そして何気ない会話の一つ一つが、こんなにも温かい。
やっぱり、この人と一緒にいる時間が一番心地いい。
そう思いながら、さっきまでの寂しささえ、ほんの少し愛おしく思えた。
毎回胸の奥が熱くなって頬が赤く染まるね。
これが私の手癖












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。