お父様のお城から帰り
馬車から降りて、お世話係の彼らに
私のお家について説明する。
本邸までの道を歩きながら
驚きの声を上げる彼らの質問に答える。
あの日、私がまだ6歳だった頃。
お父様が食事中に急に怒鳴り出して
私に、違う家に住めと言い放った。
少し遠い目をした青髪の青年が
眉を顰めてそう言う。
屋敷の扉を開いて
お世話係たちを中に入れる。
コツコツというまばらな足音と共に
ホールの中にお世話係達が広がる。
お世話係達をソファーに座らせ
メイドに説明を頼む、と言い
私はずっと待ち望んでいた
"食事"の元へと行く。
やっとお父様のお家から帰って
残してしまっていた食事を食べれる。
ルンルンとスキップをしながら
カーペットが敷かれた廊下を進む。
あぁ…涎が垂れてしまいそう。
想像するだけで頬が落ちてしまう。
甘ぁいブドウのワインに
噛んだ瞬間、じゅわぁっと広がる脂。
ガチャリとダイニングの扉を両手で開く。
その瞬間、ぶわっと広まる
ステーキの美味しそうな香り。
小走りで机に駆け寄り
椅子を引いてそこに座る。
パチン、と手を合わせて
命に感謝をし、
ナイフとフォークを両手に握り
少し硬くなった肉を切れば
後は_____
いただきますの挨拶をして
切ったお肉を刺したフォークを
口の中に入れようとした瞬間
ガバッ、と口を塞がれた。
口を塞がれて、話すことができない。
なぜ、ここにお世話係達がいるんだ。
さっきソファーに座らせたはずのお世話係達は
口を塞がれた私を無視して
カチャカチャと料理を片付けていく。
何をしているの
なんで、なんでまだ食べれるのに片付けてるの。
必死に口を塞ぐ手をどけるため
グイグイと引っ張りながら、唸る。
お世話係がにやりと笑う。
瞳の奥に渦巻くドス黒い感情に
思わず、ピタリと動きを止めてしまう。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!