厠の前で沖田さんと鉢合わせて仕舞った.
そんな「面白いもん見付けた」みたいな顔するな.
何より、先日厠の個室に連れ込まれた経験が
私の嫌な予感を倍増させる.
本来の目的である厠に入ろうとする私より早く、
沖田さんが私の腰を掴んだ.
あ…頑張って笑ってる…
口角がぴくぴくしてるよ土方さん…
…もう良いや、お手洗い済ませて来よ.
食堂で食材の仕込みをしていると、
沖田さんが話し掛けて来る.
仕込みを終え、丁度焼き上がりを知らせる音が鳴った
オーブンからマカロンを取り出す.
クッキングシートから慎重にマカロンを剥がし、
クリームを絞るとペアの生地を重ねる.
クッキーやケーキとは違い、マカロンは難易度が高い.
今回のマカロンは納得がいかない…
取り敢えず半分だけ齧ってみる.
あ、結構美味しい…味はまぁまぁかも.
食べさせてくれ、とでも言いたげな沖田さんの
開いた口に、持っていたマカロンを押し込んだ.
沖田さんの口元に溢れたクリームを
親指で拭い取り、口に運ぶ.
⬆︎またしてもいちゃいちゃに遭遇して仕舞った(不可抗力)不味いなら不味いって言ってくださって良いんだけど.
咀嚼し乍ら頷いた沖田さん.
こう言う所が可愛いんだよなぁ.
後片付けを済ませ、台拭きで机を拭き乍ら
静まり返った沈黙を破る.
入り口の壁にべったりと張り付き
此方を覗いていた山崎さんは走って行く.
食堂に飛び込んで来た土方さんに
沖田さんが何処からか持って来たバズーカを構える.
思わず漏れた声と同時に
食堂のカウンターを飛び越え、バズーカを蹴飛ばした.
壁にはひびが入っており、
壁に叩き付けられたバズーカの痕が確り残っている.
力加減ミスったなぁ……((
はわ……頭撫でられちゃった…
後ろからぎゅうっ、と抱き竦められて動けない.
何なら腰に足絡められておんぶの姿勢になってる.
背中の沖田さんをパトカーに押し込み適当に手を振る.
よっしゃ、五月蝿い人が居なくなった((
妙ちゃんを追い掛け回す近藤さんも、
サディストの沖田さんも、
庭でミントンをする山崎さんも、
其れを怒る土方さんも居ない.
少し物静かだけど、作業は捗る.
乾いた洗濯物を室内に取り入れ、鼻歌交じりに畳む.
洗濯物を置くべく山崎さんの部屋に入ると、
机の上に開いた状態のノートが放置されていた.
興味本位で覗いてみると、目線が合っていない
盗撮写真と共に綺麗な字で日付や時間、状況等が
小まめに記されている.
写真の中の人物は私.
一寸引いちゃった…((
見なかった事にしよう.
此の前の掃除中に撮ったピースの写真なんて、
"携帯用、保存用、鑑賞用、其の他30枚印刷済み"って
書いてあるもん.
30枚も何に使うんだ.
#18 参照
見なかった事にしよう、本当に.
東城さんからだ…
直接渡してくだされば良いのに.
中身は、ふりふりのフリルのメイド服とローション.
……返送しとこう.












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。