ステージに立つ夢を見ていた。スポットライトが降り注ぎ、ファンの歓声が波のように押し寄せる。マイクを握る手に力を込めて、私は息を吸い込んだ——そこで目が覚めた。
薄暗い天井を見上げる。心臓の鼓動がまだ速い。隣の時計を見ると、午前3時を過ぎていた。あと数時間後にはカムバックのショーケースだ。慣れたはずなのに、緊張で体が硬くなる。
ベッドから抜け出し、静かに練習室へ向かった。スリッパの音だけが廊下に響く。扉を開けると、鏡張りの部屋が私を迎えた。センターに立ち、ゆっくりと呼吸を整える。
「完璧にやらなきゃ」
リズムに合わせて足を動かし、腕を伸ばす。何百回と繰り返してきた振り付け。でも、心の奥にある不安は拭えない。ファンは私の新しい姿を好きになってくれるだろうか。歌は、ダンスは、表情は——期待に応えられるだろうか。
ふと、壁に立てかけてあるアルバムジャケットに目をやる。デビューしたときの私。あどけなさが残る笑顔。でも、その瞳の奥には、今と同じように不安と覚悟があった。
「大丈夫。私は、私のままで」
小さく呟く。震えていた指が、少しだけ落ち着いた気がした。
明日、私はまたステージに立つ。ファンが見守るその場所で、私のすべてを歌うために。
「カムバックの朝」
朝一番に届いたメッセージは、マネージャーからだった。
「おはよう。体調どう? 今日はカムバック初日、頑張ろう!」
短い文章の中に、いつもの優しさと少しの緊張がにじんでいた。
鏡の前に立ち、じっと自分を見る。昨日の夜、緊張で眠れなかったせいか、目の下には少しクマができていた。でも、大丈夫。プロのメイクでなんとかなる。
楽屋に入ると、すでにスタッフが準備を進めていた。スタイリストが衣装を整え、メイクさんが手際よく筆を動かしていく。そんな中、マネージャーがふと私に目配せをした。
「ちょっと、こっち来て」
楽屋の奥にあるテーブルの上に、小さなホワイトケーキが置かれていた。生クリームの上に、シンプルなチョコレートプレートが乗っている。
「カムバックおめでとう」
そう書かれた文字を見た瞬間、胸がぎゅっと締めつけられた。
「みんなで準備したんだよ」
「カムバック初日、お祝いしなきゃでしょ?」
スタッフの優しい声が次々に飛んでくる。大きな派手なパーティーじゃなくても、こうやって支えてくれる人たちがいることが、たまらなく嬉しかった。
「ありがとうございます」
笑顔でそう言ったけれど、声が少し震えた気がする。
「泣いちゃダメだよ! これからメイクするんだから!」
メイクスタッフが慌ててティッシュを渡してくる。みんなが笑って、私もつられて笑った。
ケーキの小さなロウソクに火が灯される。深く息を吸い込み、静かに願いを込める。
「どうか、今日のステージが成功しますように」
目を閉じて、そっと息を吹きかけた。ロウソクの火が消えると同時に、拍手が起こる。
カムバックの朝。きっと私は、もう大丈夫。
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#ユあなたの下の名前
カムバックおめでとー!!ってことで事務所のスタッフさん達がケーキを用意してくれました🎂✨️💞
こうやって幸せに活動できるのもみんなのおかげだよ🍀*゜体調に気をつけて乗り切ろう、!
@カムバックおめでとー!!
@曲良すぎて既に何回も聞いてる😭
@スミン頑張るよ〜✨️
@いっぱい食べて幸せにねー












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。