第15話

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2025/02/21 13:01 更新
ステージに立つ夢を見ていた。スポットライトが降り注ぎ、ファンの歓声が波のように押し寄せる。マイクを握る手に力を込めて、私は息を吸い込んだ——そこで目が覚めた。

薄暗い天井を見上げる。心臓の鼓動がまだ速い。隣の時計を見ると、午前3時を過ぎていた。あと数時間後にはカムバックのショーケースだ。慣れたはずなのに、緊張で体が硬くなる。

ベッドから抜け出し、静かに練習室へ向かった。スリッパの音だけが廊下に響く。扉を開けると、鏡張りの部屋が私を迎えた。センターに立ち、ゆっくりと呼吸を整える。

「完璧にやらなきゃ」

リズムに合わせて足を動かし、腕を伸ばす。何百回と繰り返してきた振り付け。でも、心の奥にある不安は拭えない。ファンは私の新しい姿を好きになってくれるだろうか。歌は、ダンスは、表情は——期待に応えられるだろうか。

ふと、壁に立てかけてあるアルバムジャケットに目をやる。デビューしたときの私。あどけなさが残る笑顔。でも、その瞳の奥には、今と同じように不安と覚悟があった。

「大丈夫。私は、私のままで」

小さく呟く。震えていた指が、少しだけ落ち着いた気がした。

明日、私はまたステージに立つ。ファンが見守るその場所で、私のすべてを歌うために。




「カムバックの朝」

朝一番に届いたメッセージは、マネージャーからだった。

「おはよう。体調どう? 今日はカムバック初日、頑張ろう!」

短い文章の中に、いつもの優しさと少しの緊張がにじんでいた。

鏡の前に立ち、じっと自分を見る。昨日の夜、緊張で眠れなかったせいか、目の下には少しクマができていた。でも、大丈夫。プロのメイクでなんとかなる。

楽屋に入ると、すでにスタッフが準備を進めていた。スタイリストが衣装を整え、メイクさんが手際よく筆を動かしていく。そんな中、マネージャーがふと私に目配せをした。

「ちょっと、こっち来て」

楽屋の奥にあるテーブルの上に、小さなホワイトケーキが置かれていた。生クリームの上に、シンプルなチョコレートプレートが乗っている。

「カムバックおめでとう」

そう書かれた文字を見た瞬間、胸がぎゅっと締めつけられた。

「みんなで準備したんだよ」
「カムバック初日、お祝いしなきゃでしょ?」

スタッフの優しい声が次々に飛んでくる。大きな派手なパーティーじゃなくても、こうやって支えてくれる人たちがいることが、たまらなく嬉しかった。

「ありがとうございます」

笑顔でそう言ったけれど、声が少し震えた気がする。

「泣いちゃダメだよ! これからメイクするんだから!」

メイクスタッフが慌ててティッシュを渡してくる。みんなが笑って、私もつられて笑った。

ケーキの小さなロウソクに火が灯される。深く息を吸い込み、静かに願いを込める。

「どうか、今日のステージが成功しますように」

目を閉じて、そっと息を吹きかけた。ロウソクの火が消えると同時に、拍手が起こる。

カムバックの朝。きっと私は、もう大丈夫。
_yu_chan_wake1
#ユあなたの下の名前 


カムバックおめでとー!!ってことで事務所のスタッフさん達がケーキを用意してくれました🎂✨️💞
こうやって幸せに活動できるのもみんなのおかげだよ🍀*゜体調に気をつけて乗り切ろう、!



@カムバックおめでとー!!

@曲良すぎて既に何回も聞いてる😭

@スミン頑張るよ〜✨️

@いっぱい食べて幸せにねー

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