もし…
もし、この立て続けに起こる不幸が、少女レイの仕業なのだとしたら。
──次に被害に遭うのは、やはりかもめんかそらくんだろう。
ちょんちょん、と小さく肩をつつかれた。
後ろにはそらくんが、手を振っていた。
そらくんはなぜか何も答えず、スマホを取り出す。
彼が見せた画面には…
そんな…
まさか、こんなに立て続けに起こるなんて…。
爪が手にくい込んでることに気づかないほど、ただ呆然と立ち尽くしていた。
そらくんがまたおれをつつき、我に返る。
思わず、そらくんを抱きしめた。感極まったのと、顔を見られたくなかったから。
目頭が熱い。
予想通り、頬に生暖かいものが流れる。
そらくんは、ぽんぽんと規則的におれの背中を優しく叩いてくれる。
まるで赤ちゃんをあやすように。
いつもは破天荒で、子供みたいなそらくん。
今は立場が逆転したように、おれはずっと泣いていた。
おれたちの、かけがえのない思い出。
かけがえのなかった、日々。
そらくんは、泣きはらして腫れているだろう俺の目をじっと見詰めて…
勢いよく親指を立てた。
なんだかおかしくて、笑ってしまう。
そらくんも、声こそ出さないものの、にこやかに微笑んでいた。
大丈夫。もうこれ以上、ひどいことなんて起こらない。
奪われて、奪われて、奪われるばかりのおれら。
…どうか、どうか。
──奪うのは、おれからだけにして。
なんて願いは、無慈悲にも聞き届けられず。
いつも笑顔のかもめんは、光を失った瞳で退部届を突き出した。
かもめんの目は、底が見えない沼のように濁っていて、虚ろだった。
焦点が合わない目を、合わせようと試みても、気持ちが見えない。
何を思っているのか、感情が、よめない。
そう吐き捨てて、かもめんは部室を出ていく。
閉じられた扉を、ふたりで呆然とみつめていた。
その時
聞きなれた笑い声が聞こえたのは、気のせいだろうか。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。