第72話

【番外編.3】しま姫のバナール訪問記〜その1 前編〜
70
2025/12/07 07:00 更新
「こんバナナ〜、今日もバナナ日和ですねぇ〜」

バナナあなた、今日めちゃくちゃバナナすてきなお洋服バナナね。どこでお買い求めになったの?」

バナナゲシュタルト崩壊がお家芸のこの街、「バナナの都バナール」。一人称も二人称も三人称もバナナなこの街では、生まれたその瞬間、いや、親の腹の中にいるときからバナナ教育が始まる。

今日もバナナであふれる都のバナナ市を、ぷくの子であり、大臣代理であるしま姫とそのお供が歩いていた。

ひらひらと札束で顔をあおぐ姫に、頭の上に大量のバナナ商品を乗せて歩くお供が、声を掛ける。

「姫様、そのようにお金を扱われましては、物取りに遭ってしまいますよ?」

「大丈夫よ、これくらいのお金なら、大した損害にはならないわ。それに、お城のみんなへのお土産はもう買ったもの。」

普通に数えて5万リルほどは持っているが…さすが大国の姫君、金銭感覚も規格外である。

「まあ姫様がよろしいのでしたら良いのですが…。あ、そんなことよりも姫様、あちらにお迎えがみえたようです。お金をお片付けくださいませ」

そう、今日しま姫がバナールに出向いたのは、観光のためではない。大臣代理として、ぬいぐるみ国の代表として、このバナールの君主である、バナナ王と会談、会食するためである。

「それにしても…この硬貨、バナルムで出来てるんですね。確か、輸出量世界一だと…。」

バナルムとは、世界中で人気のある貴金属だ。その希少性と、見た目の美しさ、さらには加工のしやすさから、宝飾品、貨幣などと、古来から重宝されている。地域、景気を問わずその価値は上昇し続けていて、親指の爪一つ分くらいの塊で、2000リルの値がつくくらいだ。

そして、ここ、バナールは、太古の昔より、バナルム輸出量世界一を誇っている。資源に富むぬいぐるみ国には、宝石や、水源、山、武力こそあれど、バナルム埋蔵量はバナールには劣る。逆に、バナールはバナルムという貴重なものを持ちながらも、それを守れる武力がない。

「箱舟大戦真っ只中の世界で、安全資産であり、武器などにも換えられるバナルムが大量にあるバナールは、各国から狙われている、非常に危険な状況。武力に富む我が国と手を組めば、お互いの利になるでしょう。絶対に成功させてみせるわ!!!」

以前は某P氏がバナナをすべて食い尽くすという危険性が考慮されて計画されなかったが、今回こそはと、二つの国から大きな期待が寄せられているのだ。しま姫は、きりりと眉をあげて、バナナ馬のひく、馬ナナ車に乗り込んだ。

ばなばなと揺れる馬ナナ車は、お城の敷地内へと入った。

「バナナの匂いがすごいですね・・・」

「とても小さいミニミニバナナがたくさん生えているわ…。バナナに敬意を表して、私もバナナの頭飾りをしていきましょうか…」

「バナナに敬意を表す」というパワーワードだが、ここではそれがマナーだ。しま姫はくらくらするほどのバナナの匂いをかぎながら、バナナのティアラをつける。よくそんな物があったなというウーパールーパーの言葉は無視。特注品だし。

やがて、広い広い敷地をぬけ、とうとう、眼の前にバナナ城が見えてきた。

「お、大きいですね…」

遠くから見たときにはわからなかったが、なんとも大きな城だ。だが、いたるところがバナナでできており、残念ながら防御力は全くなさそうだ。メリットといえば、いつでも小腹が満たせるというところだろうか…。籠城には役立ちそうだがそうなる前には敵に侵入されそうだ。

「これは…我が国の武力は欲しいでしょうね。三大将軍が一人の代理の私が出ればきっと向こうも喜ぶでしょう…。」

そんなことをつらつらと考えているうちに、馬ナナ車が止まった。「ばなっ」と音を立てて、城門が開く。

そこには、小さな誰かが立っていた。



三大将軍…ぬいぐるみ国軍のトップ。国王、王室に忠誠を誓っている。現在はぬいぐるみ、レッサーパンダ族の名門モッチー家のレッチー・モッチー、フィンガーマン(人間族の亜種的なもの)の超名門モウシ家の女将軍モウシ・アゲユキ、そしてぷくちゃん…となっている。

ティエランズ、クルセイダーズなどの特別部隊は、それぞれレッチー、アゲユキの指揮下にあるが、ぷくちゃんは様々な問題により特殊部隊を持っていない。

プリ小説オーディオドラマ