あっ………ジェス
スマホを取ってジェスに電話を掛ける…
〜北斗サイド〜
いつもなら正面のエントランスから
出るけど
あなたの友達とやらと
鉢合わせするのは嫌だった
だから、地下の駐車場まで降りて
裏口から帰る事にした
興味はあったけど、見てしまえば
きっと後悔する事は
分かってた
いつからだろう……
好きになってたのは
早く言っておけば良かった
でも、振られるより
今の関係であれば
あなたを近くに感じられた
どう見ても、彼氏や他の男の気配なんて
なかったから……
俺が連絡をすれば断らない
泊まっても何も言わないし
家に男の物なんて俺の着替え位だし
着替えやパンツを置いていっても
何も言わなかったからだ
なのに……
〜ジェシーサイド〜
俺はあなたの顔を両手で
包み顔を上げさせる
俺はあなたから手を離し
気まずそうなあなたを
ギュっと抱きしめた
そう言って、回していた手を解こうとした時
あなた越しにベットが
目に入った…………
あなたの部屋は広めの1Rで
仕切る物がない
ベット……………乱れてる?
思わず………
そう思って見てみると
色んな所に人がいた気配?
みたいなのがある。
自分でも、何をしてるのか
分からなくなってて
俺はあなたの腕を引っ張って
ソファに倒した
俺はあなたの首に顔を埋めた時
微かに、でも明らかにあなたとは
違う匂いに
苛立ちが増していく
でも、この匂い………
知ってる気がする……
頭に誰かが浮かぶけど
誰か顔は分からなくて、ハッと我に返った
下のあなたを見ると
目には涙が溜まってて……
自分がした事のバツの悪さと
あなたの涙に負けて
帰る事にした
そう言って、強く抱きしめると
と、あなたは小さい声でいった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!