暑いくらいの太陽の日差しに照らされて、私は目を覚ます。
目を覚ませば、そこは綺麗に片付けられた自室。
うーん片付けたことなんてないけど
そんなことを考えながら寝間着を脱ぎ、いつもよりしわくちゃな気がするシャツに腕を通す。
...いや、よく考えたらあのにゃぽんが私の部屋まで片付けてくれるわけがない。部屋が同人誌と漫画で埋まり、居間をゲームで散らかし、「片付けるのめんどくさーい」と言っては父さんにゲンコツを食らっていたあのにゃぽんが。
となると、片付けてくれたのは父さんだろうか。
そう考えて、一気に血の気が引く。
まずい、絶対見られた。どうごまかそう...
というか、そもそも昨日は私は会社で寝たはずだ。多分父さんが家まで連れ帰ってきて、それでついでに片付けてくれたのだろう。
―絶対だらしないと叱られる。どうごまかそう...(2回目)
とにかくウジウジしてても仕方ない。取り敢えず父さんに全力で土下座して謝ろう。ついでに同人誌はにゃぽんのせいに...
ロボットのような足取りで居間に着くと、キッチンに立っていたには妹―にゃぽんだった。ふんふふーん、とこれまたよくわからない鼻歌を歌いながらみそ汁をかき混ぜている。
...と、にゃぽんの動きが止まった。まるで銅像にでもなったかのように固まった。
それは3分くらい続き、お味噌汁がボコボコ吹き出しそうになったので慌てて場所を変わる。
火を弱めてくるくると混ぜると、味噌汁はまた穏やかに美味しそうな香りを漂わせる。
にゃぽんは料理が下手なんだから私に任せて、というために横を見ると―
まるで見たことのない動物を見るような目でにゃぽんがこっちを見ていた。
いつもは私をお兄ちゃん、と呼ぶのに兄さんと呼び始めるにゃぽんにそんな言葉をかける。にゃぽんは影響されやすい。十中八九、漫画の読みすぎだろう。
だけど、いつもなら
とプンプン起こり出すにゃぽんの声が聞こえない。
鼓膜が破れそうなほどの大声と小さくなっていくドタバタと廊下を走る音。と思えば
「騒がしいっ!!!」
こちらまで聞こえてくる怒鳴り声とげんこつの音に、私はただ突っ立っていることしかできなかった。
味噌汁がボコボコと音を立てて沸騰する。もう香りが立たないくらいに。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!